ANYCOLOR、時価総額が日テレ・TBSを超えて3100億円へ……ナゼVTuberはここまで評価される?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/4 ページ)
VTuber事務所「にじさんじ」を運営するANYCOLOR(エニーカラー)の株価が上場から約2倍となり、時価総額は3100億円に達した。いちVTuber事務所が、日本に存在するすべての在京キー局を、時価総額の点で上回ったことになる。
VTuber事務所「にじさんじ」を運営するANYCOLOR(エニーカラー)の株価が上場から約2倍となり、時価総額は3100億円に達した。22日昼時点の時価総額は、TBSホールディングスが2766億円、日本テレビが3084億円だった。したがって、いちVTuber事務所が、日本に存在するすべての在京キー局を、時価総額の点で上回ったことになる。
上場当初から公募価格を大幅に上回る時価総額2000億円以上の水準で取引されていたことから、個人投資家からは「IPOの熱が冷めれば即座に株価は下落に転じる」という声も多く見られた。しかし、ANYCOLORはこのような観測に業績で答えを示した。
2023年4月期第1四半期の売上高は、前年同期比113%増の59億円で、営業利益が前年同期比152%増の21億円といずれも3ケタ増となった。これを受けて同社の株価はついに1万円の大台を突破し、一時は上場時から2倍、公募価格1530円から8倍にまで急騰した。
22年は、世界的なインフレや長引くコロナ禍によって業績や株価を落とす企業が相次いでいる。あのアルファベット(グーグル親会社)ですら今年は30%も株価を落としてしまっている状況だ。しかし、ことVtuber業界に至っては、そのような逆風もどこ吹く風かといわんばかりの成長を遂げているようだ。
それでは、ANYCOLORがここまで業績を伸ばせた背景には何があるのだろうか。
関連記事
- 「にじさんじ」時価総額フジテレビ超え……26歳代表資産は1000億円超、30人以上の従業員も億万長者へ
ANYCOLORを弱冠26歳で上場に導いた創業者である田角陸氏の保有株式価値は1246億円。同社の大株主リストには30人以上の従業員が名を連ねており、最も少ない株数である1万5000株の割り当てでも時価にして1億3500万円の価値がある。したがって、ANYCOLORでは30人以上の従業員が億万長者に変身したことになる。 - VTuber「にじさんじ」が上場、時価総額1600億円に達したワケ
仮想世界で活躍する著名タレントを擁する、バーチャルYouTuber(VTuber)事務所「にじさんじ」を運営する「ANYCOLOR」が6月8日に上場した。初日は制限値幅一杯でも値段がつかず、当初の想定時価総額450億円から、9日時点の時価総額は1600億円にまで達した。 - “ダサい”と評判の4℃、5年連続の業績後退を「コロナのせい」で片付けるべきでない理由
ネックレスやリングをはじめとした宝飾品ブランドとして有名な、「4℃」を手がけるヨンドシーホールディングスの業績が悪化を続けている。 - 「大阪王将」勘違いで「餃子の王将」株価も下落? 意外と多い「とばっちり」事例をまとめてみた
「大阪王将」の不祥事につられて、「餃子の王将」の株価も下落している。これが「自業自得」の場合はまだいいが、市場では社名が似ているばかりに「とばっちり」で風評被害に遭う事例が後を絶たない。 - 止まらない「ヤクルト」旋風、実は「海外売上」の方が好調?
ヤクルト本社の株価は8550円まで上昇し、7月12日の高値をさらに更新した。足元では、同社の株価が日経平均株価を40%以上アウトパフォームする好調ぶりなのである。なぜ今、ヤクルトに注目が集まっているのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.