リモートワークであぶり出される「ダメな上司」の典型例(2/3 ページ)
リモートワーク下で、うまくマネジメントができず指導力のなさが露呈してしまう管理職が少なくない。リモートワークであぶり出される「ダメな上司」の典型例とは──?
リモートワークで悩む管理職の多くは、もともと問題を抱えている
化学会社の人事担当者はこう指摘する。
「リモートワークをうまくマネジメントするには、管理する側がより積極的に情報を取りにいかなければならない。リモートワークになって仕事がうまく進まなくなったと言ってくるような人や部署には、新型コロナウイルス感染症の問題発生前から、もともとうまくいっていなかったようなところが多い。いわば、たまたま水が引いた結果、底が露呈したような状態だ。そうした相談がきたら、去年から始めた部下と管理職の1on1ミーティングの研修をするチャンスだと捉えている」
確かに以前からコミュニケーション下手な管理職ほど、対面からオンラインに変わって仕事の進め方で悩んでいるという話をよく聞く。
あるIT企業の人事部長は「以前から頻繁に部下とやりとりするなど、コミュニケーションがうまい管理職は、オンラインにもうまく対応している。ビジネスチャットや電話、あるいは対面など、ツールの選定を適切にやっている。そもそも仕事の明確な目標と達成するための計画を共有し、計画達成の進捗管理を定期的に実施していれば問題はないはずだ。目標や計画も明確ではないために進捗管理もうまくできない管理職ほどオンラインになって悩んでいる」と語る。
1on1ミーティングなどのコミュニケーションやWeb会議を活性化するには当然ながらオンラインスキルも問われる。効率よく仕事をこなし、社内でも評価の高い人はオンラインスキルを使いこなしている人が多いと語るのは広告関連会社の人事部長だ。
「オンラインスキルを熟知していることは断然有利。オンライン会議前に企画のプレゼン内容を整理して適切な資料を作成し、画面共有しながらさまざまな資料を駆使して分かりやすく伝えられる人ほど企画が通りやすい。また、お客さんとの商談でもオンラインスキルが高い人は成果に結び付きやすい」
リモートワークの浸透でオンラインシステムなどデジタル技術も日々進化している。しかしサービス業の人事部長はオンラインスキルに関しては若い人に比べて年配者は見劣りすると言う。
「いろんなセクションの社員が参加する部門横断のオンライン会議では、ZoomやTeamsを使い慣れていない人ほどミスする。例えば、画面共有に戸惑い、会議の時間を無駄に費やす年配社員も少なくない。あるいはオンライン研修ではグループ討議が可能な機能もある。講師に『グループごとに10分間議論し発表してください』と言われ、分かれたが、課長クラスのグループだけ20分経過しても戻ってこない。議論に熱中しているのか、操作に戸惑っているのか分からないが、講師によって強制的に呼び戻されたこともある。年配者はオンライン会議の苦手意識を捨て、積極的に学ばないと若い社員にバカにされるだろう」
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