「無借金経営こそ安心」の危険な誤解 “借り入れ恐怖症”の企業が陥るワナ:支払金利は“保険料”と心得よ(2/7 ページ)
「無借金経営」という言葉に魅力を感じている経営者や財務担当者は少なくないようです。しかし、財務基盤が盤石な大企業ならともかく、手持ち資金が潤沢ではない中小企業が無借金経営を目指すことには問題があります。社長と経理が知っておきたい「無借金経営のワナ」について、専門家が解説します。
企業がお金を集める方法は2つしかない
売り上げを増やせば、手元の資金は増えるのでしょうか?
現金売上が多い、または、前受金が多い業種以外は、売り上げを増やすと、手元の資金は減ってしまいます。売り上げを作るためには、先に仕入れて在庫を抱えなければなりませんし、なにより人件費が売り上げの入金を待たずに出ていきます。さらに売り上げの多い月や少ない月の波によって、手元資金が枯渇してしまうタイミングが来ることがあります。売り上げが大きくなると、この傾向がより顕著になってきます。
現金売上または前受金がもらえて、かつ、大きな投資をしなくて良い業種の場合、売り上げが増えれば増えるほど手元のお金は増えますから無借金経営が可能です。逆に言えばそれ以外の業種の場合は、売り上げが増えるほど手元の資金がなくなるので、無借金経営は難しいということになるでしょう。
では、どうすればよいでしょうか?
企業がお金を集める方法は2つです。それは、自己資本を厚くするか、借金をするかのどちらかです。これ以外に方法はありません。
自己資本を厚くするには、毎期、毎期の利益を積み上げるか、誰かから資本を入れてもらうしかありません。しかし、自己資本が厚かったとしても、売上代金の未収が多かったり、多くの在庫を抱えなければならなかったりする業態の場合、自己資本の増加ほど手元の資金は増えません。
さらに、自分以外の誰かから、そんなに多くの資本を入れてもらえる可能性は低いので、その資金は経営者個人から注入するしかありません。もし自分が持っている資本よりも多くの資本を第三者から入れてもらうと、経営権を握られてしまうので注意が必要になります。
ですから基本的には、てっとり早く自己資金を潤沢にするためには、銀行借入れを考えるのが一番なのです。
© 月刊経理ウーマン
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