「無借金経営こそ安心」の危険な誤解 “借り入れ恐怖症”の企業が陥るワナ:支払金利は“保険料”と心得よ(3/7 ページ)
「無借金経営」という言葉に魅力を感じている経営者や財務担当者は少なくないようです。しかし、財務基盤が盤石な大企業ならともかく、手持ち資金が潤沢ではない中小企業が無借金経営を目指すことには問題があります。社長と経理が知っておきたい「無借金経営のワナ」について、専門家が解説します。
現預金を減らす要素は「赤字」だけ
このコロナ禍で顕著になりましたが、新規出店や改装、あるいは、新規の機械購入を検討する際に、銀行の融資判断を待っていたのでは良い物件を逃してしまう、あるいはニーズに応えられずに機会損失を生んでしまうということになりかねません。
経営は、早い者勝ちの、一位総取り・倍々ゲームですから、早い決断をして機先を制することが大切となります。その出どころが借入れであれどうであれ、手元資金の量が経営者の判断に影響を与えないはずがありません。
逆に、手元資金がない状態の経営者は、借入れがあろうがなかろうが、明日の給料の支払い、仕入れ代金の支払いのことで頭がいっぱいになり、投資判断の際に消極的になりがちです。
また、基本的に利益が出ていない赤字企業には、銀行は融資しません。「赤字で困っているから借りたい」と、思うのが経営者の本音でしょうけれども、銀行から見れば、「いざというときの準備を怠った企業」ということになります。ですからまずは、「資金がないから利益が出ない、利益が出ないから借りられない」という、最悪のループを回避するためにも、日頃から借り入れをして手元の資金を潤沢にしておく必要があるのです。
それなのに、なぜか多くの経営者が無借金経営を目指そうとします。これは借り入れというリスクに対する人間の本能的な習性、あるいは、「こんなに借金があるのにこんな経営を続けていてよいのか」という自責の念によるものではないかと思います。
しかし、基本的に借金で会社が潰れることはありません。潰れるのは「現預金がない」からです。ここを多くの経営者が勘違いしています。そして、「現預金を減らす要素」は「赤字」だけです。
© 月刊経理ウーマン
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