「空気が読めない」社員が、ADHDだった──どうしたらいい? 発達障害・パーソナリティ障害・精神疾患の人への接し方:トラブルが起きた際には(2/7 ページ)
多様な人材が働く職場では、従業員の言動に頭を悩ませることもあります。知っておきたい「発達障害」「パーソナリティ障害」「精神疾患」の特性と対処法を紹介します。
(1)自閉症スペクトラム(ASD)
自閉症スペクトラム(ASD)の症状は、主に対人コミュニケーションの問題と、こだわりの強さに現われます。
対人関係では、状況に適した言動や感情表出が苦手で、文脈をつかめなかったり、冗談が通じなかったりと、会話がスムーズに展開していきません。相手の立場から物事を考えたり、いわゆる「空気を読む」ことが苦手で、対人距離も近過ぎたり、遠過ぎたり、一方的な印象を受けます。
また、同じ行動パターンを好み、柔軟性に欠けた行動や感覚過敏を持ち合わせています。
(2)注意欠如・多動症(ADHD)
注意欠如・多動症(ADHD)には、不注意さ(ミスが多く忘れっぽい)と、多動性(落ち着きのなさ)、衝動性(考えるよりも先に行動してしまう)という3つの特性があります。そのため、やりたい気持ちを抑えて意思をコントロールするのが苦手、長期的で大きい報酬よりも小さくても短期的な報酬を選ぶ、時間の管理がうまくできない、といった傾向があります。
こうした特性から、1つの仕事に集中できず、先送りしてしまう、いろいろな仕事に手をつけ、結局どれも中途半端で完遂できないといったことが生じます。
また、対人関係では、つい余計なことを言ってしまったり、感情をコントロールできなかったりするために、トラブルが起きやすくなります。
(3)限局性学習症(LD)
限局性学習症(LD)の人は、知的能力には問題はないけれども、読む・書く・計算するなどの学習能力のいずれかに困難さを持っています。
例えば、書字障害があると、書く作業に時間がかかり、話の内容を聞き漏らしてしまう、といったことが起きます。
書字障害の人に限らず、発達障害の人の職場で苦労することの代表例として、メモがあります。メモを取るためには、耳からの情報を一時的に記憶し、大切な部分を記憶から抜き出して書き起こす作業が必要です。簡単なように思えますが、発達障害の人が実行するには、難しさがあります(表1)。
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