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「空気が読めない」社員が、ADHDだった──どうしたらいい? 発達障害・パーソナリティ障害・精神疾患の人への接し方:トラブルが起きた際には(4/7 ページ)
多様な人材が働く職場では、従業員の言動に頭を悩ませることもあります。知っておきたい「発達障害」「パーソナリティ障害」「精神疾患」の特性と対処法を紹介します。
【1】妄想性パーソナリティ(A:奇妙で風変わりな群)
【事例】疑い深い部下
税金や社会保険の手続きのために、個人情報の提出を求めると、「僕の個人情報をどうするつもりですか」と言って提出してくれません。
この他、業務上必要な注意・指導をすると「僕のことが気に入らないから引きずり落とそうとしているんだ」と非を認めません。しまいには、「ハラスメントだ、訴えてやる」と過剰反応するため、対応に困ります。日常的な会話に当人の名前が挙がっただけで、「悪口を言われている」と、被害妄想的な様子も見られます。
(1)妄想性パーソナリティの特性
妄想性パーソナリティの特性非常に疑い深く、自分以外は信じられません。常に心の底で、「自分は陥れられるのではないか」といった恐怖心を抱いています。
「頑張っているね」の一言であっても「もっと頑張らないとクビということか」と極端な解釈をし、攻撃的になることがあります。
「他人は自分を傷つけ、攻撃するのではないか」という猜疑(さいぎ)心の強さは、本人の過敏な気質に、否定されることの多い環境が重なった結果と考えられています。
(2)妄想性パーソナリティの人への対処法
被害妄想はあるものの、物事を現実的に捉えることはでき、法律や決まりごとをよりにどころする特性があります。
必要な書類の提出などは、社内規則にのっとっていると伝え、提出しなかった場合に伴うリスクなどを説明するとよいでしょう。
また、周囲との摩擦を起こしやすいため、実際に陰口や仲間外れの対象にされることもあります。「考え過ぎ」「その考えはおかしい」と決めつけた態度で接することは控えましょう。首尾一貫した態度に安心感を抱くので、距離感を保ちながら、客観的な事実を確認していきます。
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