【インボイス制度の一問一答】インボイス発行事業者が死亡すると、登録の効力は失われる? 法人の合併・分割時は?:インボイスQ&A(2/2 ページ)
消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が令和5(2023)年10月1日に導入されます。前回に続き、インボイス制度の中身をQ&A形式で解説します。今回のテーマは、「適格請求書発行事業者が死亡した場合や、法人の合併・分割時には、登録の効力は失われてしまうのか」です。 筆者は税理士の山口拓氏。
Q30 法人について合併があった場合、適格請求書発行事業者の登録の効力はどうなるのでしょうか?
A30 吸収合併または新設合併があった場合には、被合併法人が受けた適格請求書発行事業者の登録の効力は、被合併法人の事業を承継した合併法人には及びません。
そのため、合併法人が適格請求書発行事業者の登録を受けようとするときは、新たに登録申請書を提出しなければなりません。
なお、法人が、新設合併によりその事業を承継した場合又は吸収合併により適格請求書発行事業者の登録を受けていた被合併法人の事業を承継した場合において、その法人が合併があった日の属する課税期間中に、その課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を提出して登録がされたときは、その課税期間の初日から登録を受けたものと見なされます。
Q31 法人について分割があった場合、適格請求書発行事業者の登録の効力はどうなるのでしょうか?
A31 分割があった場合には、分割法人が受けた適格請求書発行事業者の登録の効力は、分割により分割法人の事業を承継した分割承継法人には及びません。
これにより、分割承継法人が適格請求書発行事業者の登録を受けようとするときは、新たに登録申請書を提出しなければなりません。
なお、法人が新設分割によりその事業を承継した場合又は吸収分割により適格請求書発行事業者の登録を受けていた分割法人の事業を承継した場合において、その法人が新設分割又は吸収分割があった日の属する課税期間中に、その課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を提出して登録がされたときは、その課税期間の初日から登録を受けたものとみなされます。
著者紹介:山口 拓(やまぐち・たく) 税理士・経営支援責任者
消費税専門税理士。また「窮地にある中小企業を1社でも多く救いたい」との使命感を持ち、売り上げアップや経営助言など中小企業に特化した支援を積極的に行っている。さらに、顧問先の税務調査の負担軽減のため税理士法上の書面添付制度を活用し、平成30年度には税務調査省略割合100%の実績を上げている。https://www.yamaguchitaku-office.com/
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