社内の“違法なヒミツ”を知ってしまったら──内部通報者を守る「公益通報者保護法」、改正でどう変わった?:2022年6月施行(3/6 ページ)
自分の会社で違法なことが行なわれている。もしあなたがそうした事実を知ったとき、どうするでしょうか。違法行為は通報すべきですが、それが原因で自分が解雇されるかも……と考えると通報を躊躇(ちゅうちょ)するかもしれません。そんなときに内部通報者を守るのが「公益通報者保護法」です。
公益通報に対応するための体制整備が義務化された
改正前の公益通報者保護法には、公益通報を受けた者の守秘義務の定めはありませんでした。しかしこれでは、公益通報を受けた者がその事実を企業内部に広めることにより、通報者が特定され、嫌がらせなどの被害を受けるという問題が生じかねません。
そこで、改正法では、公益通報に対応する従事者や従事者であった者については、正当な理由なく通報者を特定させる事実を漏らしてはならないとする守秘義務が設けられることになりました。
また改正法では、損害賠償責任の免除が設けられました。改正前の公益通報者保護法では、公益通報によって企業が損害を受けた場合における通報者の損害賠償責任に関する定めがありませんでした。そのため、通報者が公益通報を行った際に、企業が通報者に対して損害賠償請求をするという事案もありました。
そこで改正法では、企業は公益通報により損害を受けたことを理由として、通報者に対して、損害賠償請求をすることができないという免除規定を設けることになりました。
さらに、通報体制整備義務などの創設も大きな改正点です。
改正前の公益通報者保護法は、企業に通報体制を整備することを義務付けていませんでした。あくまでも自主的に、通報窓口などを設置することを推奨するにとどまっていたのです。そのため、ある程度規模の大きな中小・中堅企業でも、通報窓口が設置されていないことがありました。
このような実態を踏まえ改正法では、企業に対し、公益通報の対応に従事する者を定めること、公益通報に適切に対応するための体制を整備することを義務付けることにしました。もっとも、法的に義務付けられるのは、常時使用する労働者数が300人を超える事業者となります。労働者数が300人以下の事業者については、努力義務となります。
公益通報者保護法の改正で一番重要なのが、この通報体制整備義務となります。そこで、以下この点を中心に解説をしていくことにしましょう。
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