連載
レオパレス21「赤字686億から復活」の大きな誤解 施工不備問題が残した“傷跡”と未だ苦しい実態:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(5/6 ページ)
レオパレス21は施工不備発覚が社長の引責辞任にまで発展するなど、大きな問題となりました。この影響で一時は巨額の赤字を抱えましたが、22年3月期には黒字に転じたため、現在は回復途上にある──この見方は、決算書に表れる「ある項目」を知ると、ガラリと変わります。
あらためて確認すると、引当金は将来の見通しで計上されています。見通しに依拠しているということは、当たり前ですが外れた際には、利益の額にも影響を与えます。なお、見通しは大抵のケースでは一定、外れてしまうものです。
実際の決算書を見てみると「補修関連損失引当金戻入額」という特別利益が、21年3月期は153.7億円、22年3月期は119.6億円と非常に多額になっています。これこそ、見通しが外れたことによる影響であり、「見通しが外れて想定より必要なお金が少なくなったからその分を利益にした」ものです。
22年3月期の純利益が118.5億円だった事を考えると、この特別利益なしで黒字化できていたかは分かりません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。
社員に昇進を打診したら、本人が拒否──懲戒処分にできるのか?
「社員に管理職への昇進を打診したら断られた」という話を、よく聞くようになりました。調査によれば、出世したいと考える20〜30代は約2割ほど。昇進を拒否した社員に、どう対応すべきなのでしょうか。
「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
多様性を重視するアマゾン・ジャパンの面接に「極めてだが優秀だが、差別的な人」が来た場合、どのような対応を取るのか。人事部の責任者である上田セシリアさんに聞いた。
幹部候補か、“万年ヒラ”か キャリアの分かれ目「30代以降の配置」を、人事はどう決めている?
「育成」の観点から異動配置させる20代が過ぎると、多くの企業は「幹部候補の優秀人材」と「それ以外」の社員を選別します。人事は、そうした異動配置をどのように決めているのでしょうか。年代層別の異動配置のロジックをみていきます。
「優秀でも残念でもない、普通社員」の異動に、人事が関心を持たない──何が起きるのか
社員の異動を考える際、人事部が真っ先に関心を持つのは「優秀社員」と「残念社員」。その間にいる大多数の「普通社員」は後回しにされがちという実態がある。しかし、この層への取り組みを疎かにすると、ある懸念が生まれる。
