Twitter買収は終わりの始まりか、イーロン・マスクが夢見るSNSは叶うのか:本田雅一の時事想々(1/4 ページ)
イーロン・マスク氏が10月27日にツイッター社の買収を完了した。経営権を100%掌握したマスク氏は今後、どのようにTwitterを作り変えていくつもりなのか──。その方針や懸念点をITジャーナリストの本田雅一氏が考察する。
テスラ、スペースXなどの起業家として知られるイーロン・マスク氏が10月27日にツイッター社の買収を完了した。本件を巡っては、今年春に同氏が買収意向を発表して以降、さまざまな紆余曲折がテクノロジー業界の話題になっていた。
その買収額(440億ドル=6兆4000億円以上)も話題になったが、マスク氏は同社を非上場の私企業として運営するため、その企業価値に関する議論に現時点ではあまり大きな意味はない。
経営権を100%掌握したマスク氏は今後、彼が経営している他の企業以上に“自由に”Twitterを作り替えていくだろう。
マスク氏は買収に際して「多様な信条を持つ人たちが集まり健全に議論する共通のデジタル広場」にすると発信し、「私が愛する人類のために」と動機について語っているが、その発言を額面通りに受け取ることはできない。
ツイッター社は私企業となった。発言が自分の置かれている状況に応じて変化することで知られるマスク氏が、自由にTwitterのルールを作り変えることができてしまうのだ。
アクティブユーザー数は他のSNSに比べて少ないとはいえ、極めて幅広くグローバルな情報発信の場として利用されているTwitterが、今後、どのような情報交換の場になっていくのか。
とりわけTwitterの始まりの地である米国では、この買収をきっかけにさまざまなSNS論が展開されている。
Twitterの緩やかな終わりが始まるとの指摘、あるいは別のサービスへと発言の場が変化していく可能性などが話題の中心で、その温度感は日本での議論よりもかなり高い。
関連記事
- “スーツ姿の客”がネットカフェに急増 カギは「PCなし席」と「レシートの工夫」
コロナ禍で夜間の利用者が激減し、インターネットカフェ業界は大きな打撃を受けた。そんな中、トップシェアを誇る「快活CLUB」では、昼にテレワーク利用客を取り込むことに成功、売り上げを復調させた。そのカギは「PCなし席」と「レシートの工夫」にあるという。どういうことかというと……。 - アマゾンの新しい返品方法 お金を返し、商品は回収しない──なぜ?
米国は、日本に比べて返品OKの小売店が多い。米アマゾンなどの大手小売りでは、返金するのに商品は回収しない「Keep it」という新しい返品方法が進められている。なぜ、このような手法を取るのか? - 「課長にすらなれない」──絶望する40代社員が増えるワケ
真面目に勤めてきたが、上の世代とは違い「課長にすらなれない」──そんな状況に絶望する40代社員が増えています。減り続ける管理職ポストの実態と、深刻な賃金格差とは。「肩書きなき40歳問題」について河合薫氏が解説します。 - 「氷河期の勝ち組」だったのに……40代“エリート課長”に迫る危機
自分をエリートだと信じて疑わなかったサラリーマンが、社内の方針転換により出世のはしごを外されることがある。エリート意識や、能力主義への妄信が生む闇とは──? - オンキヨー破産の反響に“大きな誤解” オーディオは「ノスタルジックなビジネスではない」と言えるワケ
オンキヨーが、5月13日に自己破産を発表した。この件に関連して、オンキヨーをかつてのオーディオブームに乗じ、今は勢いを失った日本ブランドの代表として“ノスタルジックな論調”で語る言論が多かった。しかし、筆者はオンキヨーは「伝統的なハイエンドブランド」という立ち位置ではなく、またオーディオビジネスの本質をつかんだブランドは今も求められていると指摘する。オーディオ業界で、何が起きているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.