Twitter買収は終わりの始まりか、イーロン・マスクが夢見るSNSは叶うのか:本田雅一の時事想々(2/4 ページ)
イーロン・マスク氏が10月27日にツイッター社の買収を完了した。経営権を100%掌握したマスク氏は今後、どのようにTwitterを作り変えていくつもりなのか──。その方針や懸念点をITジャーナリストの本田雅一氏が考察する。
“意見発信プラットフォーム”としてのTwitter
その背景にはTwitterの使われ方の違いもある。
日本でのTwitterは、比較的日常の気持ちや出来事を共有し、それをフォロワーが閲覧したり、あるいは検索によって自分が知らなかった情報と出会ったり、あるいはニュースやローカル情報との組み合わせで第三者の発言に出会うといった、幅広い人たちが”現在”というタイムラインを緩やかに共有することで成立している。
もちろん匿名でのイジメや不用意な発言での炎上、炎上に際して根拠なく無責任に個人を攻撃するといった状況もあるが、そもそもで言えば議論には向かないのがTwitterのシステムだ。
日本以外でのTwitterも、もちろん大きく使い方が異なるわけではない。しかし、より情報発信ツールとしての比重が大きく、不特定多数に対して何らかの呼びかけ、情報発信を行い拡散するための道具としての使い方が目立つ。
日本でも政治・社会運動家が、仲間で協力してアクセスが増加する時間帯に合わせ、興味を引くハッシュタグで繰り返し発言することで”Twitterトレンド”を作り出すテクニックがあり、一部の利用者はこれを駆使している。しかし彼らの多くが、名もなき者のグループで行動するのに対して、日本以外では個人(あるいは組織を代表するスポークスパーソン)が自らの考えを示す場として使うことで、利用者は幅広い意見、あるいは自分が好む選別した意見を集める場として利用している。
いわば意見発信プラットフォームとも言えるかもしれない。いずれにせよ、このように使われ方がかっちりと決められていないゆるさがTwitterの特徴でもあった。その一方で、自由度が高いゆえに、扇動的な極論を発信する場としても使いやすく、実際に利用されてきた。そこで、Twitterはデマ拡散や民衆の扇動、犯罪につながるような発言を監視し、時にアカウント停止などの措置を取ってきた。
そんな中、マスク氏がツイッター社買収の動機として挙げたのが、Twitterが利用者の主義主張をアカウント凍結やツイートの削除などで積極的に制限する姿勢を批判し、改善することだった。
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