Twitter買収は終わりの始まりか、イーロン・マスクが夢見るSNSは叶うのか:本田雅一の時事想々(3/4 ページ)
イーロン・マスク氏が10月27日にツイッター社の買収を完了した。経営権を100%掌握したマスク氏は今後、どのようにTwitterを作り変えていくつもりなのか──。その方針や懸念点をITジャーナリストの本田雅一氏が考察する。
ある日、Twitter全てが変わる前夜
発言内容がSNSプラットフォーム上で適正であるかどうかの内容評価を「コンテンツモデレーション」という。マスク氏は主にこのコンテンツモデレーションを変えるため、そのための評議会を設置するとしている。
マスク氏は「事実かどうかがあいまい、または過度に扇動的なグレーゾーンの発言に関してはツイートを一方的に削除せず残し、内容に関して議論や真実性に異議がある場合は発言が利用者のタイムライン上で目立ちにくくするにとどめ、発言者のアカウント凍結も極力慎重に対処する」という考えを示している。
実社会でのウワサ話や情報の口伝、あるいはメディアを通した拡散などでも起こりうるように、真実と虚構、その間のあいまいな情報も含め、情報伝達の速度や強度を調整することで、沈静化する発言は自然にタイムアウトしていく方がいいという考え方だ。
その一方でマスク氏は広告主が安心して広告出稿できる場になり、決してウソだらけの情報にあふれる無法地帯にはならないとも発言しており、より緩やかなコンテンツモデレーションポリシーに切り替える一方で、ウソ情報は流れにくいシステムへとしていくという意味にも捉えられることを話している。
その具体例は出していない。従って、まだ何もできておらず、また証明もされていない仮説の中、マスク氏の頭脳の中で完成されたソーシャルネットワークが存在するのかもしれない。
しかしいずれにしろ、マスク氏は何も証明されておらず、また何をするかも知られていない中で、粛々と自分の思い通りにTwitterの組織全体を解体し始めた。新しく作り直すためだろう。
買収後、マスク氏はブレット・テイラー会長やパラグ・アグラワル前CEOなど、ツイッター社経営陣9人を全員解任し、取締役はCEOである彼一人だけとなった。また米ワシントンポストによると、およそ7500人とされる従業員の25%は削減対象になるという。
少なくとも、“Twitterの全てが変わる前夜”であることは間違いない。
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