利益の半分は不動産──フジテレビの不調で、変わるフジHD 101億円の大幅減益でも安泰な理由:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(1/5 ページ)
フジ・メディア・ホールディングスといえば、フジテレビなどの「メディアの会社」というイメージが強いかもしれない。しかし、その内実は異なる。
普段は決算書から分かる経済の流れについて解説している本連載ですが、10月の記事からは決算書を読んだり、さらに二ュースを見たりする際に知っておきたい会計用語を、実際の企業の決算を取り上げつつ紹介しています。
正確なルールや知識というよりは、決算書やニュースを見る際により詳しく意味が分かることを目標にします。前回は、スシローを例に「減損損失」について解説しました。
前回の記事
今回取り上げるのは「その他有価証券評価差額金と包括利益」についてです。フジテレビなどの事業を展開しているフジ・メディア・ホールディングスの実際の決算を取り上げつつ説明していきます。
コロナ影響でメディア事業の売上減
まずはフジ・メディア・ホールディングスのここ数年の業績の推移から見ていきましょう。
売上高の推移に関しては、コロナ以前は6500億円前後で横ばいの状況が続いていました。コロナの影響が出た2021年3月期は5199億円と大きく下落し、22年3月期に関しても5250億円と下落の状況が続いています。
テレビは成長産業ではないため、しばらくの間は売り上げも伸び悩みの状況で、コロナの影響も比較的大きかったことが分かります。
続いて営業利益の推移に関しても、コロナ以前は増減はありつつも伸び悩みの状況が続いています。コロナの影響が出た21年3月期は38.4%減で、101億円もの減益を記録しました。
フジ・メディア・ホールディングスのコロナの影響を考えてみると、21年3月期に非常に大きな悪影響が出て会社は苦しい状況となっていたように見えます。
しかし、フジテレビの運営などのメディア事業の21年3月期は、実は利益面ではそこまで大きな悪化となっていたわけではありません。
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