健全化に向かうツイッターを”混乱させている”のは誰か?:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
ツイッターが大混乱に陥っているように見えるが、本当にそうだろうか? ツイッターの騒動の実態と、これからツイッターがどう展開していくのかを見ていこう。
日本で勃発したキュレーション問題
日本でも、あるビジネスメディアの記者が「確かにTwitterのニュースフィードは更新されてない気がする。私たちメディアは自社記事のモーメントを作成→Twitterキュレーションチームに連絡→審査の上ピックされたりされなかったり、という手順を踏んできたのだけど、この作業はしばらくは意味を成さないのかな?」(原文ママ)というツイートをしたことで、ツイッターがコンテンツを誘導していたというような話が一人歩きしている。
さまざまな議論があるが、少なくともこの仕組みは他のキュレーションサイトも同様だ。キュレーションサイトに送った記事が、どのように掲載されるかは読者のアクセス具合や時間帯、他の記事との兼ね合いなどのアルゴリズムによってコントロールされている。記事を配信するプラットフォーム側のルールが適用されるのは当然である。
コンテンツ制限やキューレーションなどの問題も、政治的な議論にしたがる傾向があるので、日本でもその辺りは冷静になるべきだろう。
こうした側面よりも、ビジネスパーソンは、起業家であるマスク氏が多額の赤字を垂れ流してきた企業をこれからどうビジネス的に改革していくかに注目すべきだろう。
ちなみに、マスク氏はツイッターを「トランプスタイル」で運営し始めているともリベラル勢から批判されている。そう、公式発表などの前に、ツイッターで考えをどんどん明らかにしていくスタイルである。ただマスク氏のような経営者がそういうスタイルで経営をしていくのには、ツイッターを「公共の広場」にしたいと明言している同氏ならではの透明性の担保だと考えられる。
さすがに世界一の富豪である起業家だけに、自分が何をしようとしているかも明確な理由があるだろうし、先のビジョンもあるだろう。これからのツイッターに大いに期待したい。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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