「トラッキング」「アクティビティの追跡」って結局なんなの? ネット広告のプロに聞いた:“ウザい広告”が増える可能性(3/3 ページ)
最近スマホの画面で「アクティビティの追跡を許可」「トラッキング」などの言葉を頻繁に目にする。「トラッキング」「アクティビティの追跡」って結局なんなの?インターネット広告代理業のユニークワンが解説。
トラッキング規制の強化でネット広告はどう変わる?
――個人情報への不安感からトラッキングを許可しない人が増えた場合、インターネット広告にはどのような影響があるのでしょうか?
回答: トラッキング規制の強化によるネット広告への大きな影響として、以下の3つが考えられます。
(1)行動ターゲティングへの影響
Webサイト上の行動履歴からユーザーの属性や興味関心などを元にターゲティング広告を配信する際、多くはサードパーティーCookieの仕組みを使っています。トラッキングが規制されると「属性不明」のデータが増加。ユーザーの興味関心が収集できなくなるため、結果として、ターゲティングの精度低下が起こりうると考えられます。
(2)リターゲティングへの影響
特定のWebサイト訪問者をターゲティングする「リターゲティング広告」も、サードパーティーCookieを元にしています。例えば過去に資料請求をした人、通販サイトを訪問した人などに対して、再度広告を配信する仕組みです。トラッキング規制が強化されることで収集できるデータが減少し、結果としてリターゲティング広告の表示回数が少なくなることも考えられます。
(3)コンバージョン測定
ネット広告の成果=コンバージョン計測(効果測定)も影響を受けます。Cookieや広告IDの制限でユーザーの識別ができなくなる結果、コンバージョン計測できるデータが制限されます。今までは広告からサイトを訪問した人の性別や年齢層、過去の行動履歴に基づく興味関心などを収集することができたため、次回以降の広告配信のターゲティングに生かせていましたが、そういったことが難しくなるかもしれません。過去の広告を基に学習できないため、成果が出るまで時間がかかることも想定されます。
――トラッキング規制が強化されることで、インターネット広告はどのように変化を遂げていくとお考えですか? また、広告を受ける側にはどのような影響が出るのでしょうか?
回答: 今後は「サードパーティーCookieや広告IDに依存しないネット広告配信」が主流になると考えられます。例えば「人」ではなく「掲載箇所」でターゲティングを行う「プレースメント指定」、自社アカウントにいいね・コメントしたユーザーや類似ユーザーをターゲティングなどです。
また、細かいターゲティングが難しくなることで、運用型広告ではなく、枠で買う純広告への移行も起こるかもしれません。
なお、Googleをはじめとした大手プラットフォームは、ターゲティング規制に対応する代替技術の開発などを進めています。
消費者にとっては、個人情報を自分でコントロールできる範囲が広がる一方で、最適化された広告が配信されにくくなる可能性も出てきます。トラッキングを許可しないことでターゲティング広告への“抵抗感”は減らせるかもしれませんが、広告をブロックできるわけではありません。Cookieのメリットデメリットを比較し、判断することが重要でしょう。
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