社内で行き詰まったDXは「ダイエット」になぞらえるとうまくいく:DXの本当の進め方(後編)(5/7 ページ)
日本企業のDX成功率は約10%だという。社内でDXの議論が進まないのはなぜか? DXを推進するための方法を「ダイエット」を例に挙げて解説する。
何をもって「DX」は成功とすべきか?
成功の定義ができていないことがDXの失敗の要因の一つだと述べながら、DXは果てしないからいつまでも成功しないと主張したことで、若干の矛盾を感じた読者も多いかもしれない。ところが、この2つの主張が矛盾しない”ちょうど良い”成功の定義がある。
その成功の定義とは「変革モードに入っている状態をキープしていること」であると筆者は考える。「大きな変革に対して前向きなモチベーションを保ち、今すべきことに集中できており、その成果を少しずつ実感できているという状態を何年何月までに作り上げる」という具体的な目標を”当面の”成功の定義とするのである。
「状態を作ってキープ」という、要するにマインドセットの醸成を成功の定義とすることで、あるプロジェクトが頓挫(とんざ)しているからDXなんかやめたらどうだ? という端的な話にもなりにくい。挑戦する姿勢を崩さずにキープしていれば、果てしない戦いから何らかの成果を獲得し続けることができるというのが筆者の考えだ。
失敗してしまうデジタル化プロジェクトもあるかもしれないが、それは方法がうまくいかなかっただけであり、DXそのものが失敗したわけではない。経営層から一般社員まで、社員全員が意思をもってファイティングポーズをとり続ける、その状態の完成をまずは目指してほしい。
どうやって成功を推し量るのか?
「当面はマインドセットの醸成をもって成功と見なすべき」と述べたが、これにはデメリットもある。それは、成功の度合いを推し量りにくいことだ。数値で表された明確な定量目標のような分かりやすさ、手触り感は得にくい。個人のダイエットであれば自分さえ納得していれば続けられるが、法人はそこまで単純ではないのが難しいところである。
これの対処法は、社員に意識調査をするなどして近似的に定量化することである。「DXを続ける事への納得度」「施策の腹落ち度」「成果の実感度」「他者(株主、メディアなどの第三者)からの評価」などを定期的にリサーチし、そのスコアの推移を追えばある程度は成功の度合いを推し量ることが可能であろう。
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