豊橋鉄道×豊橋市×テクテクライフ、スタンプラリーのDXで観光力アップ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/7 ページ)
豊橋鉄道の電車やバスを利用したデジタルスタンプラリー「テクテク豊橋ブラ散歩」が2023年2月28日まで開催中だ。豊橋鉄道の観光集客と、豊橋市の公共交通利用推進に貢献するイベントという位置づけだが、実はフリーきっぷからMaaSへの進化のステップでもある。
網走の成功談がきっかけ
「テクテク豊橋ブラ散歩」のきっかけは、位置情報を使ったゲーム「テクテクライフ」が行った2つのコラボだった。1つは北海道網走市とのコラボ「テクテク網走めぐり」、もう1つは釧網本線沿線のコラボ「テクテク釧網本線めぐり」だ。
「豊橋鉄道も渥美線と市内線で、ほぼ毎年スタンプラリーをやっていました。紙のスタンプシートで、参加条件はワンデーフリー乗車券の購入です。これを毎年のようにやってきたところ、人気があって、根強いファンの方もいらっしゃる。そんなときに網走市の取り組みを知りました。地域のスタンプラリーをテクテクライフのようなゲームとしてやれたらおもしろいと思いました。ちょうど社内でDXに取り組みたいという課題もあって、いろんなビジネスの種を探しているなかで、杉山さん(筆者)の記事を見つけたんです」(豊橋鉄道 総合企画部 河合秀文氏)
◆北海道のローカル線を盛り上げる位置情報ゲーム「テクテクライフ」、仕掛け人に聞く(21年11月7日の本連載)
◆「位置ゲー」はローカル線活性化の切り札になる(21年11月27日、東洋経済オンライン)
「テクテク豊橋ブラ散歩」は、スマートフォンアプリの位置情報ゲーム「テクテクライフ」を使う。参加条件は豊橋鉄道のモバイル版フリーきっぷ「いこまい豊橋 電車バス1日フリー乗車券」を利用すること。豊橋鉄道ではほかに従来の紙のフリーきっぷも販売しているけれど、モバイル版だけに表示される「いこまいコード」がスタンプラリーのチェックポイントで必要になる。この仕掛けはモバイルチケットの利用を促している。
あとはゲームを起動し、チェックポイントを巡る。スタンプラリーは5つのコースがあり、各コースですべてのスタンプを集めると抽選に応募できる。景品は鉄道模型や豊橋鉄道グッズ、豊鉄バスグッズなど。乗り物ファンに片寄った内容のような気がするけれど、豊橋市の人々にとって豊鉄は馴染みの会社だから、地元の人々も楽しんでいるようだ。
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