優秀な人を「会社に合わない」と不採用 “ざんねんな中途採用”から脱却する方法:採用競争時代を勝ち抜く(3/3 ページ)
変化の多い時代を乗り切ろうと「これまで自社では採ってこなかった職種やタイプの人」を採用したくても、「当社には合わない」「判断基準がない」として見送りになってしまうケースもあるようです。
(2)誰が何を見極めるのか設定する
例えば人事→現場責任者→経営陣と3回面接がある場合、「誰が、何を、どれくらいの割合で見極めるのか」を設定をします。
これまでの業務経験、コミュニケーション能力、在籍していた組織の規模感、とさまざまな項目があった場合、
- 人事=キャリアビジョン50%・人柄50%
- 現場責任者=経験50%・人柄30%・キャリアビジョン20%
など、選考する立場によって基準値を設けます。複数の候補者を選び評価する際や、徐々にブラッシュアップしていく際にも基準があると振り返りがしやすいのでおすすめです。
(3)現在の選考回数は適切か見直す
上述の通り、「2〜3回」の面接がよくあるパターンです。しかし、採用企業にとって2〜3回の見極めは本当に必要なのでしょうか? また、1回60分は適切な時間設定なのでしょうか?
複眼で見る、という前提で複数回の選考を組まれているケースが多いですが、これを「1〜2日で複数回」とすれば候補者は確保すべき日程数が減り負担が減ります。
特に現職がある状況で転職活動をしている方が多数なので、そのような配慮はプラスに働くことが多いです。また、後工程でしっかりと候補者を口説く時間を確保できることもメリットの一つです。
(4)リファレンスチェックを導入する
多くの外資系企業が取り入れているリファレンスチェック・バックグラウンドチェック。前職での実績などに誤りがないか確認するために、導入する日系企業も増えてきています。特に新しい職種・人材の採用をする場合、一緒に働いてみないと判断ができないことも多くあると思います。
第三者という観点より、実際にその人と働いていた方からの意見や仕事ぶり、マネジメントをする上で好感が持てるポイント、懸念するポイントを把握することで選考材料の一つとなります。もちろん、リファレンスチェック・バックグラウンドチェックの実施には本人の同意が必要ですので、その分選定期間が延び、チェックそのものにも時間がかかります。そのような背景もあり、(3)現在の選考回数は適切か見直すことが、効率的に取り組みやすいポイントではないでしょうか。
新しい職種・人材の採用は、決して簡単には進みません。旧来型の形式的に選考を流していくのではなく、数限りある候補者としっかり向き合うことを前提に一つ一つの経験を糧にして適切な選考をするために事前の設計が鍵となります。
ぜひ、より良い面接体験を候補者に提供できているかをいま一度振り返っていただく機会となればと思います。
著者プロフィール
青木 裕一
エンワールド・ジャパン 日系部門 アソシエイトディレクター
2006年エン・ジャパン株式会社入社、その後ドリコム、リクルートエージェント(現リクルート)を経て、2014年よりエンワールド・ジャパンに入社。日系企業×IT・インターネット業界・DX人材領域のコンサルタントとして配属され、2020年より同領域のアソシエイトディレクターに着任。現在は、投資ラウンドのシード期からシリーズC前後に至るスタートアップ企業の経営層・ハイクラス・ミドルポジション、およびレガシー系企業×DX系職種を中心に採用支援・転職支援を行っている。
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