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サッカーW杯出場中のデンマーク代表、“ロゴなし”ユニホーム採用 提供元ヒュンメルの狙いとは(3/3 ページ)

デンマーク代表が、ユニホームサプライヤーの企業ロゴが目立たないデザインのユニホームを着用し、大会に臨んでいるとして注目を集めている。提供元ヒュンメルの狙いとは。

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人権問題巡るカタール政府への抗議も

 こうしたポジティブな意味合いの一方、政治的なメッセージも込められている。英ガーディアンなど欧州の各国メディアは開催決定から2020年までに、スタジアムなど大会関連施設の建設中、約6500人が死亡したと報道している。犠牲となった多くが、インドやバングラデシュなど南アジアから入国していた出稼ぎ労働者だったという。

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日本とドイツが対戦したハリファ国際スタジアム(提供:ゲッティイメージズ)

 同社は、自社ロゴや、同社のトレードマークでもある「シェブロンライン」を含む、全ての色をトーンダウンすることで、カタール政府への抗議を表現。同社は公式Instagramアカウントで「数千人もの命を奪った大会期間中、自分たちの存在を目立たせたくない」との声明を発表している。

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ヒュンメルの特徴的な「シェブロンライン」

 「われわれはデンマーク代表チームを全面的に応援しているが、それは開催国であるカタールを応援することとは違う。われわれは、スポーツが人々を1つにするものであるべきだと信じている」(ヒュンメル)

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ヒュンメルの公式Instagramアカウントでの声明

 ただ、こうしたメッセージは、デンマークの本社が発信したものだ。同社日本法人は公式Webサイトで「スタジアム建設に携わった移民労働者に対する扱いについての詳細を知らないヒュンメルジャパンとしては、その是非について言及することはできない」とした上で「ヒュンメル本社の姿勢を支持し、日本においても、スポーツは人々を結び付けるものであると信じ、取り組みを続けていく」との方針を示している。

 複数の提供国を抱える競合のアディダスやナイキに対し、ヒュンメルのカタール大会での提供国はデンマーク代表のみ。だからこそ、他社と変わった取り組みをすることで、自社の存在が際立つ。各方面から問題を指摘されるカタール大会で、デンマーク代表はどこまで勝ち進むか。デンマーク代表はグループステージ突破をかけ、11月30日(現地時間)の最終戦でオーストラリア代表と対戦する。

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デンマーク代表の中心選手クリスティアン・エリクセン選手(中央、出典:FIFA公式Webサイト)

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