リモートか、出社か――人も組織も“持続可能”なこれからの働き方とは?:リモートワーク総論(2/4 ページ)
総務省によると、日本の全企業の51.9%が何らかの形でリモートワークを導入しています。長らくみんなで同じ場所で働いてきた私たちに、リモートワークはどうやって浸透していったのでしょうか。どのような環境に変わっていったのでしょうか。
出社に切り替える要因は?
その一方で、リモートワークから出社に切り替える会社も増えています。チーム形成が困難、新しい発想が出にくいなど理由としてはさまざまですが、共通していえるのはコミュニケーションと勤怠把握に要因があるということです。
実体験ですが、同僚と世間話をすることもなく、またどうでもいい内線に集中力を切られることもないリモートワークは、タスクは驚くほど進みます。しかし、そういった日々の中に「そこまでしてやることか?」という虚無感が残る日も確実にあるのです。
これは、会社への所属意識がうすれ、エンゲージメントが低下していることに他なりません。さらにこの状態が加速すると、従業員との関係が「雇用」ではなく淡々と仕事を処理する「業務委託」のようなドライな関係になってしまいかねません。
仕事はルーティンだけではない
異業種の人と実際に会う、出社してのブレスト会議など、対面コミュニケーションから新しいアイデアや新機軸が見つかることも広く言われている部分です。ここは、リモートワークゆえの「時間内で自分の意見を理論立てて主張する」という意識下では生まれにくい「発想」の部分です。言葉にならない空気感をおもんぱかる状況や、本人の気持ちのバッファーがないと発想の萌芽は見られないのでしょう。
上述したコミュニケーション問題の厄介な点は「すぐには分からない」という部分です。徐々に積もっていったものが、最終的にメンタル不全(退職予備軍)になる、不毛な仕事の擦り付け合いになる、市場がマンネリ化するといった形で顕在化してくるのです。そして顕在化した際には枝葉に分かれており、それぞれに対処が困難な事案となってしまうのです。
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