東京モーターショーはどうあるべきか トヨタ社長が憂う日本の未来:高根英幸 「クルマのミライ」(1/6 ページ)
2023年の秋、4年ぶりに東京モーターショーが開催される。リーマンショックをきっかけにモーターショーの活気が失われつつあるが、どうすれば“復活”するだろうか。
2023年、年明け早々に先の話をするのは、ちょっとせわしないかもしれないが、秋に4年ぶりに開催される東京モーターショーについて、今回は考えてみたい。
日本自動車工業会(以下、自工会)の現会長である豊田章男トヨタ自動車社長は以前、会見で「JAPAN オールインダストリーショー」と改名して、自動車産業以外の参加も国内から広く募る案を明かした。これには賛否両論あったようで、その後自工会から次回のモーターショーのイベント名は「JAPAN MOBILITY SHOW」となったと発表があった。
そこまで大胆に変わることはなかったものの、東京モーターショー(以下TMS)という名称は前回で終わってしまったわけだ。それは一つの時代の終わりをまた証明するものであり、クルマの大転換期を感じさせるに十分な響きである。
東京からジャパンへと地名の呼称が変わるのは、日本を代表するイベントとした想いがあるのかもしれないが、筆者は逆にドメスティックなイメージが強まってしまうと思う。やはりTOKYOは海外から見て魅力的に映る地名だ。JAPANは日本全体であり、イメージとしてボケるのは否めない。
JAPANのほうが国際的なイメージなのでは、と思われる読者もおられるだろうが、そもそも国際的なモーターショーでも海外メーカーの参加は減少傾向にある。
もう随分前から、自動車メーカーは特定のモーターショーに注力することが公表されており、ドイツのフランクフルトショーと北米のデトロイトショー、中国の上海モーターショーだけは世界中の自動車メーカーが出展するものの、それ以外のモーターショーはその国のメーカーは出展するが、海外メーカーからの出展はほとんどないという、国際的なモーターショーとしてはいささか寂しい状態となっていったのである。
関連記事
- トヨタは日本を諦めつつある 豊田章男社長のメッセージ
日本の自動車業界は今後どうなるのか。タイトヨタの設立60周年記念式典、およびトヨタとCPグループとの提携に関する発表から、未来を展望する。 - なぜSUVは売れているのか 「しばらく人気が続く」これだけの理由
街中でSUVをよく見かけるようになった。各社からさまざまなクルマが登場しているが、なぜ人気を集めているのだろうか。EV全盛時代になっても、SUV人気は続くのだろうか。 - なぜプリウスは“大変身”したのか トヨタが狙う世界市場での逆転策
トヨタが新型プリウスを発表した。発売はまだ先なので、車両の詳細なスペックなどは分からないものの、その変貌ぶりが話題になっている。それにしても、なぜトヨタはこのタイミングで発表したのか。背景にあるのは……。 - マツダCX-60は3.3Lもあるのに、なぜ驚異の燃費を叩き出すのか
マツダCX-60の販売状況が、なかなか好調のようだ。人気が高いのはディーゼルのマイルドハイブリッドと純ディーゼルで、どちらも3.3Lの直列6気筒エンジンを搭載している。それにしても、3.3Lもあるのに、なぜ燃費がよいのだろうか。 - なぜ「時速5キロの乗り物」をつくったのか 動かしてみて、分かってきたこと
時速5キロで走行する乗り物「iino(イイノ)」をご存じだろうか。関西電力100%子会社の「ゲキダンイイノ」が開発したところ、全国各地を「のろのろ」と動いているのだ。2月、神戸市の三宮で実証実験を行ったところ、どんなことが分かってきたのだろうか。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.