YouTubeのショート動画、2月から収益化対象に TikTokに対抗へ(3/3 ページ)
米グーグル傘下のYouTubeが短尺動画「YouTube ショート」の収益化を2月1日に始める。中国バイトダンスが手掛ける「TikTok」への対抗とみられる。収益化対象の動画を増やすことで、参画クリエイターの増加を目指す。
背景にTikTokの脅威 主導権奪還なるか
YouTubeがショート動画の収益化に踏み切った背景には、TikTokの存在がある。調査企業eMarketerの調査によると、22年のTikTok全体の広告収入は前年比3倍の116億4000万ドル(1ドル=130円レートで約1兆5132億円)。24年には、TikTokの広告収益は235億8000万ドル(同3兆654億円)にまで膨れ上がり、実質的にYouTubeの全体収益である236億5000万ドル(同3兆745億円)に匹敵すると予測している。19年からの5年間で70倍の規模に成長している計算となる。
これまでYouTubeも試験的にショート動画の収益化を行っていたものの、短尺動画がメインのTikTokに対し、YouTubeがショート動画でクリエイターに還元した金額は21年から22年にかけて1億ドル(同130億円)にとどまっていた。
実際、クリエイターがYouTubeに投稿した動画を見ると、自身のTikTokアカウントに投稿したショート動画を、転載しているケースが目立つ。通常の長編動画はYouTubeに投稿しつつ、短尺動画はTikTokというように使い分けている様子がうかがえる。YouTubeはショート動画の収益化を本格化することで、動画プラットフォームとしての主導権を握る狙いがある。
企業がショート動画を活用するケースも
近年は、採用活動のPRの一環として、企業が公式YouTubeチャンネルを開設するケースが増えている。若年層に親近感を持ってもらおうと、ショート動画を利用する企業も多い。企業のPRという視点では採用活動以外にも、インフルエンサーが企業タイアップで製品をショート動画で紹介するケースもある。
YouTubeの分析を手掛けるエビリー(東京都渋谷区)の調査によると、YouTube全体でショート動画の投稿数が増加傾向にあるという。ショート動画でのタイアップに関しては「ショート動画をフックにして長尺動画への動線を作ることで視聴の途中離脱を防ぐ効果も一部で見られており、この方法でもYouTubeの広告収益を伸ばすことが可能。現段階ではタイアップ案件への参入はまだ様子見という状況だが、今後企業とのタイアップ案件の成功事例が増えれば、案件数は加速していくだろう」と分析している。
企業PRで、YouTube ショートの利用が進むか、今後、注目を集めそうだ。
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