7年も鳴かず飛ばずだったハイチュウ、なぜ米国で爆売れしたのか 「もぐもぐタイム」が火付け役:21年度は売り上げ約105億円に(3/3 ページ)
米国でのハイチュウ人気が止まらない。しかし、米国に本格進出した08年からの7年間は鳴かず飛ばずの状態だったという。21年の売り上げは約105億円に上るとのことだが、ここまで成長できたのはなぜかというと……
人気を爆速させたメジャーリーガーのもぐもぐタイム
全国販売と時を同じく、ハイチュウ爆売れの火付け役となる出来事がメジャーリーグで起こった。きっかけは、球団に所属していた日本人選手がチームメイトにハイチュウを差し入れたことだった。
「全ての球団に該当するかは分からないのですが、ブルペンに入る一番若手の選手が飲み物と軽食を用意する習慣がある球団もあったようです。そこにハイチュウを置いたところ大人気だったようで。選手としても毎回ハイチュウを日本で購入し、持参するのは大変だと、球団関係者から当社にご連絡いただき、商品を提供することになりました」(森永製菓の担当者)
メジャーリーガーがハイチュウを気に入ってくれることが分かった森永製菓は、球団とスポンサーシップ契約を結び、メジャーリーガーを通じたプロモーションに力を入れていく。いくつかの球団とスポンサーシップ契約を結び、ベンチにハイチュウを置くことを依頼したことで、試合中継にハイチュウを食べるメジャーリーガーたちの姿が映り込むようになった。現在は、シカゴ・カブスとセントルイス・カージナルスとタンパベイ・レイズの3球団とスポンサーシップ契約を結んでいる。
選手たちが試合中にハイチュウを食べる姿を見て、商品を知った消費者も少なくないだろう。実際に森永製菓が実施したハイチュウの認知調査では、口コミが圧倒的に多かった。メジャーリーガーが全ての要因ではないものの、その影響力は無視できない。
全米におけるHI-CHEWのブランド認知率は48%に上る。販売店率も70%を超え、全米における取扱率も安定した。加えて、メジャーリーグという最強の起爆剤も持つ。しかし、消費者に買い続けてもらうためには、引き続き相当な工夫が必要だろう。
人気を継続させるためには?
ハイチュウが選ばれる存在であり続けるためには「常にお客さまの頭に残る商品であることが大切」だという。
「キャンディや菓子類は、店で見て購入するという衝動的な購買が多いと言われています。そのため、見た瞬間に『ハイチュウだ! 買おう!』となるような工夫が私たちには求められます」(森永製菓の担当者)
その一手が、FacebookやInstagramなどのSNS投稿やスタジアムでのサンプリングである。ハイチュウと消費者との接触回収を増やす努力を続ける一方で、グミなどの競合品との差別化を図るため、新フレーバーや新商品の開発にも力を入れている。
「ハイチュウが好きと話すお客さまも、毎日ハイチュウだけを食べているわけではありません。1週間に何回ハイチュウを食べてもらえるかというせめぎ合いを、競合商品と毎日しています。定期的に新しいフレーバーや新商品を出すことで、いかに飽きないでもらえるかを心がけています」
中でも「ハイチュウの強みは一つ一つのフレーバーの完成度」と森永製菓の担当者は自負する。「例えば、米国ではアサイーやドラゴンフルーツなど、他社が出してこないようなフレーバーを採用しています。風変わりな味が米国では人気があるんです。もちろん定番商品も味の再現度は高いです。一番売れているのは昔からあるORIGINAL MIXです」
長い下積み期間とマーケティングの結果、米国の土台を固めつつあるハイチュウは、このままメジャーリーガーたちを巻き込みながら成長していくのか、はたまた全く異なる路線からさらなる販路を拡大していくのか......ますます、これからのハイチュウの動きから目が離せない。
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