7年も鳴かず飛ばずだったハイチュウ、なぜ米国で爆売れしたのか 「もぐもぐタイム」が火付け役:21年度は売り上げ約105億円に(2/3 ページ)
米国でのハイチュウ人気が止まらない。しかし、米国に本格進出した08年からの7年間は鳴かず飛ばずの状態だったという。21年の売り上げは約105億円に上るとのことだが、ここまで成長できたのはなぜかというと……
ハワイでは人気だったけど……
米国法人を設立したからといって、いきなりハイチュウを米国全土で展開できるほど甘くはなかった。
日系やアジア系のスーパー、地元スーパーのアジアフードコーナー、コンビニなどに取り扱ってもらえたものの、日本との商習慣の違いから「導入そのものに一苦労した」と、担当者は当時を振り返る。
当時、とあるコンビニへの陳列を提案したものの、本部商談での全国導入は叶わなかった。しかし、店舗オーナーの「YES」を引き出せば店頭に並べてもらえる仕組みだったため、店舗商談に繰り出す日々が続いた。地元スーパーでは、「日本の商品だから」という理由で、菓子コーナーではなく、アジアフードコーナーに陳列されてしまう。また、日系スーパーがあるのは、西海岸か東海岸、ニューヨークぐらい。中央部の地域では販売すら叶わなかった。
担当者は「この頃の売り上げは期待に沿うものではなかった」と振り返る。「お店にどれだけ並べられるか、お客さまにどれだけ知ってもらえるかという両輪で見たとき、どちらも上手く回せていませんでした」
米国全土で目標を上回らないと採用されない
全国規模のスーパーを狙うためには、商品採用の決定権を持つバイヤーを説得する”何か”が必要だった。森永製菓の担当者たちは、バイヤーへの説得材料を集めようと、地元スーパーのアジアコーナーで実績を上げたり、地区採用してもらった店舗で販売目標数を達成したりと、地道な努力を日々積み重ねた。
ある全国チェーンのスーパーから、試しにキャンディコーナーにハイチュウを陳列しようとオファーを受けたとき、「実績を出せるかが不安だった」と担当者は吐露した。なぜなら米国のスーパーでは、地域ではなく、店舗規模でトライアル先が決定されるからだ。これは、店の大きさによって、置かれる商品アイテム数が決まっていることが関係する。日本のように、特定地域で試しに販売し、結果が出たら全国展開というスタイルとは異なる。
バイヤーは、全国の販売平均額が目標ラインに達するかどうかでその商品を評価する。もし西海岸の店舗が合格ラインだったとしても、他の地域が低かったら採用は厳しい。
商談も一苦労だった。「スーパーは年明けから春ごろにかけて商品を入れ替えるため、商談は前の年の夏から始まるのが一般的なスケジュールです。そこで採用されなかったら、次の夏まで基本的にチャンスがありません」
ハイチュウは、トライアル採用されては、目標数に届かずにカットされるを繰り返した。何回ぐらいで採用されたかを質問すると、「何回挑戦したかは、正直分からない」と苦笑が返ってきた。
「商談に落ちた翌年に、別のチェーン店での提供実績を持っていき、再度挑戦できないか提案したのも一度や二度ではありません。ただ、一度売れなかったという実績が残っているので、正直、再チャレンジ自体が難しかったです」(森永製菓の担当者)
何度も何度も挑戦し続け、14〜15年頃にようやく全国規模のスーパーマーケットの菓子コーナーにハイチュウが置かれることが決まった。同時に、現地の人からの認知も急激に高まったという。
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