売れる商材はAIに聞け 大塚商会の独自システム、営業全体の受注率上回る活躍ぶり:提案件数は1年で3倍に(2/3 ページ)
大塚商会は2000年初頭に独自設計の「顧客管理&営業支援システム」の運用を開始し、データドリブンな営業スタイルを構築した。現在は、AIの提案が営業全体の受注率上回る活躍ぶりを発揮しているという。なぜそんな体制を確立できたのかというと……
新人営業のサポート役として貢献
一方で、AIによる商談の提案は、経験の足りない新人営業をサポートする役割も果たしている。「顧客とどのようなコミュニケーションを取れば受注につながるか」などをAIが過去のデータから判断し、アドバイスするのだ。
大塚商会で複写機などの営業を担当する田中氏は「自分では考えつかなかった商材をAIに提案されて、それが受注につながったことが何度かある」とAIの実力を認める。
実際、AIによる商談の提案は22年7月までの1年間で3倍以上に増えており、同年1月から6月までの提案件数は7万件に上る。AIの提案を受けて実際に顧客を訪問するかどうかは営業担当者の判断になるものの、AIが提案した訪問先での受注率は全体の受注率を上回るという。
大塚商会がもう一つ営業向けに開発したのが、AI機能を備えた営業担当者用のスマートフォンアプリ「AIアシスタント」だ。
AIアシスタントは営業担当者の秘書のような役割を担うアプリとして開発されたもので、顧客の注文状況をチェックする機能やスケジュール管理機能、日報作成機能などを搭載している。営業担当者は、これから訪問する顧客が過去にどんな商材を購入したか、どんな商材のニーズがありそうかといった情報を外出先からでもチェックできるほか、顧客に提出する見積書などもAIアシスタントを利用して作成できる。
田中氏は「従来は、書類作りなど営業の業務をサポートする営業支援センターに電話をかけて見積書の作成を依頼していた。時間帯によっては、見積書のPDFファイルが届くのは翌日、翌々日ということも多かった。現在はAIアシスタントに必要な情報を入力するだけで、ほぼリアルタイムに見積書を作成できる。商談の直後、お客さまの購入意欲が高いうちに見積書を届けられる効果は大きい。見積書に不備があって再作成してもらうこともなくなった」と話す。
地主氏が「AIアシスタントは見積書などを自動作成することで営業担当者の作業を減らしただけでなく、営業支援センターの負荷も大幅に削減した」と付け加えると、田中氏は「一度に複数の見積書作成を営業支援センターに依頼するのは気が引けるが、AIアシスタントなら遠慮なく作ってもらえる」と、心理的な負担が軽減された点も効果として挙げた。
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