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海外大手が資金力で競争 動画サービス戦国時代、日本発「U-NEXT」が戦える理由:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/5 ページ)
今回取り上げるのはUSEN−NEXT HOLDINGS。コンテンツが値上がりし、動画サービス各社が投資余力で戦う中、動画配信サービス「U-NEXT」はなぜ戦っていけるのでしょうか。
巣ごもり需要で順調に成長
続いて、ここ数年の業績の推移を見ていきます。
売り上げ・利益ともに右肩上がりで成長が続いており、2022年8月期で6年連続、過去最高を更新しました。特に大きな成長を遂げていたのはコンテンツ配信事業で、コロナ禍に入る前の19年8月期の売り上げは336億6700万円だったのに対し、22年8月期には714億3200万円に。営業利益は4億3100万円から62億9000万円に伸ばしており、巣ごもり需要の好影響が反映されています。
23年8月期の第1四半期までの業績も見ていきましょう。
売上高は前年同期比15.2%増の639億4000万円、営業利益は同2.9%減の45億8000万円、経常利益は同6.4%減の42億8000万円、純利益は同0.9%減の23億4000万円と増収ながらも減益の決算となっています。
売り上げに関しては四半期ベースで過去最高を更新と大きな成長が続いている他、減益となった営業利益に関しても、前期に発生したIT補助金による需要増の反動減があったと同社は説明しています。それを除けば増収基調を維持しており通期予想に対しては順調なスタートだったともしており、業績自体は堅調だと考えられます。
また、販管費の推移を見てみるとコンテンツ配信事業の売り上げ増による決済手数料増加に伴い微増ですが、売り上げは増加が続く一方で横ばいでの推移となっています。結果として売上高に対する販管費率は下落を続けています。
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