海外大手が資金力で競争 動画サービス戦国時代、日本発「U-NEXT」が戦える理由:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(4/5 ページ)
今回取り上げるのはUSEN−NEXT HOLDINGS。コンテンツが値上がりし、動画サービス各社が投資余力で戦う中、動画配信サービス「U-NEXT」はなぜ戦っていけるのでしょうか。
利益率が低いエネルギー事業、政治的要因に左右される業務システム事業
エネルギー事業は電力価格の高騰も影響して大幅な増収となり、売り上げは全体の20.8%を占める事業になりながらも、利益率は低く2.2%ほどしかありません。
新電力の電力の調達コスト増加を受け、新電力事業を持つ企業は苦しい状況のところが多いため、利益が出ているだけでもポジティブですが、売り上げが増えていても利益は出にくく、利益面には大きな影響を与えられる事業にはなっていません。
自動精算機などを提供する業務システム事業は、IT補助金による需要増の反動があり減収減益となっています。この事業は、政治的要因にも左右されやすいものです。例えば直近では、医療機関のマイナ保険証システム導入の原則義務化に伴い、マイナタッチの申込数が急増しました。
業務用システム事業は単価が高額なサービスや製品が多く、IT補助金やこうした法令による義務化などの政治的要因に左右されやすいのです。減収減益となっていますがマイナ保険証の影響によってある程度業績は安定していそうです。
売り上げの中心は音楽配信で、クロスセル商材が増加
増収増益となった音楽配信のUSENや、店舗DXなどを進める店舗サービス事業に関しては配膳ロボットやキャッシュレス関連の商材販売が好調で増収増益だったとしています。
売り上げの中心は音楽配信ですが、クロスセル商材の割合が順調に増加しています、音楽配信から顧客との接点を作れるというのは大きな強みになりやすいことが分かります。
一方でPOSレジの課金件数に関しては、閉店解約の増加によって純増ペースは鈍化しています。コロナ禍の助成金で支えられていた飲食店の閉店が増え始めているためだと考えられます。POSレジに限らず店舗数の減少は他の店舗向けサービスの業績悪化にもつながるため、閉店数の推移などは見ていく必要がありそうです。
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