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CA週2勤務にパイロット1人制──「消える仕事・残る仕事」論争は、時代遅れと言えるワケ河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)

2013年に「人間が行う仕事の約半分が機械に奪われる」と予測した論文が話題となりました。それから10年、世の中は大きく変化し「消える仕事・残る仕事」と区別の付けられない状況が訪れています。航空業界の働き方を例に、「機械に奪われる」ほど単純じゃない人の働き方の多様さについて考察します。

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 個人的な話で恐縮ですが、私は大学卒業後、客室乗務員としてANAに勤めていました。それから30年ほどたち、「空」のビジネスは、私が飛んでいたころには1ミリも考えなかった方向に変わっています。

 当時、ローコストキャリア=LCCができるなんて全く想像しなかったし、客室乗務員が契約社員になるなんて、考えたこともありませんでした(その後正社員採用に戻りました)。

 働き方・働かせ方だけでなく、航空業界の構造も、飛行機のカタチも、どんどんと変わり、もっともっと変化するに違いありません。

 そこで今回は空から見る「変わりゆく職業」を軸に、これからの「雇用の在り方」「私たちの働き方」を考えてみようと思います。みなさんも、ぜひ、一緒に考えてください。


航空業界の構造は次々と変化してきた(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

CAの「週2勤務」を導入 変わりゆく働き方

 では、まずは「ついにそこまできたか!」という変化から。

 ご存じの方も多いと思いますが、ANAがかなり“ドラスチックな働き方改革”を進めていることが分かりました。CAの「飛び方」はコロナ禍での旅客数の激減を引き金に、勤務日数を減らされたり、地上に降りて異業種出向になったり(希望制)、地方居住や副業が認められるようになったりと、目まぐるしく変わりました。そして、ついになんと「週2勤務制度」の導入が決まったというのです。

 昨年度から希望する客室乗務員には、短い日数で勤務できる特別措置を行ってきましたが、継続を望む声が多かったことから来年度から制度化することになったそうです。

 これまでは育児や介護などの理由に限っていた条件を改め、対象は国内に居住するANA所属の約8500人の客室乗務員です。週休5日にすることで副業や地方居住が可能になるとともに、勤務外の時間を学び直しの時間に充ててもらうことで、「非航空分野などの新事業拡大にもつなげる狙いがある」とされています。

 特定の路線を中心に乗務することも可能ですが、運航に影響を与えないよう制度を利用できる人数に上限を設けるそうです。

 基本的にANAの客室乗務員は全て正社員ですから、正社員の身分のまま週2勤務とは。「あっぱれ!」というか、「さすが!」といいますか。

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