「スマートサロン」ってどんなところなのか 全国初の店舗を取材した(3/5 ページ)
美容室向けヘア化粧品メーカーのミルボンが新事業「スマートサロン」を始めた。リアルとデジタルを融合させ、自分に合ったヘアケア製品を選びやすい新たな購入体験を提供するという。どんな事業なのか。
カウンセリングでの購買率を30→50%に
施術をする場合は、通常の美容室と同様に予約を取って来店する。その際、顧客の要望に沿って美容師がヘアケア製品やスタイリング方法を提案し、その内容を顧客のスマートフォンに届ける「STYLESTOCK」(スタイルストック)というサービスを用意している(23年3月ローンチ予定)。
同サービスは、ミルボンが運営するオンラインショッピングサービス「milbon:iD」(ミルボンID)を通じて提供される。20年6月に提供開始したミルボンIDは、AmazonやZOZOTOWNなどと同様のB2B2Cのビジネスモデルで、顧客が購入した商品の売り上げは各美容室に計上される。
ミルボンIDを導入する美容室の利用者のみが会員登録でき、登録サロンは約4800件、会員は約45万人いる(23年1月現在)。美容室は登録費(5000円)、利用料(月額500円)、手数料(1注文あたり150円)を負担するが、在庫を持たずに顧客に利便性のいい買い物体験を提供できるという。
そもそも、なぜ新業態のスマートサロンをオープンしたのかというと、ミルボンの佐藤龍二社長いわく、美容室での買い物体験に何らかの「物足りなさ」を感じる顧客が多いからだという。
同社が22年に実施した20〜59歳の男女800人への意識調査によれば、「美容室でヘアケア製品を買いにくい」と回答した人が57.8%だった。その理由は、1位「市販品より価格が高い」(50.3%)、2位「価格が分からない」(34.3%)、3位「自分に合うか分からない」(31.2%)、4位「本当に良いものか分からない」(28.3%)だった。
そのほか「美容室に行ったときにしか買えない」「お試しがしづらい」「即決できない」といった理由も。そういったネガティブな声を反映して設計されたのがスマートサロンというワケだ。
ミンクスを運営するMINXworld(ミンクスワールド)の高橋マサトモ会長(「高」ははしごだか)によれば、ミンクスにおけるカウンセリングを通じたヘアケア製品の購買率は、現状20〜30%とのこと。同店ではスマートサロンの導入により、50%への引き上げを目標に掲げる。
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