WOWOWはなぜ「巣ごもり需要」を逃したのか 「独占配信商法」では厳しい生き残り:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(4/4 ページ)
動画サブスク各社が好調な中、「巣ごもり需要」を逃してしまったWOWOW。音楽ライブやスポーツイベントの独占配信で会員数を伸ばしてきましたが、放映権が高騰する中、今後の見通しは厳しいです。どのように生き残りを図るのでしょうか。
どう生き残るのか?
財務状況を見てみると現預金は299億円、売掛金は62億円ほどあり、投資有価証券も91億円ほどあります。現金や換金性の高い資産が452億円ほどあり、一方で負債は262億円と財務的には余力が大きいです。
今後の「重点取り組み」としては、オリジナルコンテンツの開発や視聴だけでなく、参加や応援を促すコミュニティー作りなどを挙げていますが具体性のある取り組みは見られません。財務的には余力があるため、どのような取り組みをしていくか注目したいところです。
まとめ
テレビ視聴を中心とするWOWOWでは、動画配信サービスの成長に押されて、会員数は減少を受け売り上げの悪化が続いています。
直近では番組制作費の減少によって利益面は改善していますが、スポーツイベントが正常化する中で通期では番組制作費は増加し減益が続く見通しです。
今後は主力コンテンツのスポーツイベントの放映権が高騰していく中で、コンテンツの購入が難しくなっていき、業績の悪化が続く可能性が高いと考えられます。
財務的な余力はあるため、今後どのような取り組みを進めていくかに注目です。
筆者プロフィール:妄想する決算
決算は現場にある1次情報とメディアで出てくる2次情報の中間1.5次情報です。周りと違った現場により近い情報が得られる経済ニュースでもあります。上場企業に詳しくなりながら、決算書も読めるようになっていく連載です。
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