遅々として進まないDX。果たしてこれからどこへ向かうのだろうか:上から目線の印象(2/3 ページ)
DXなくして企業ではないと言わんばかりの盛り上がりようだ。国(経産省)は、2022年7月に、今度は「DXレポート2.2」なるものを公表した。レポートをじっくり読むと……。
次に、成果状況についての質問では、「取り組みの成果が出ている」と答える企業は70.7%と高く、3分の1以上の企業が「成果がある」としている。
「既に取り組みを始めている」と回答した企業に対して、DXの取り組みで重視していることを尋ねたところ、「業務プロセスの効率化・高度化」「既存の商品・サービス・事業の付加価値向上」に加えて、「抜本的な事業構造の変革」もかなり多く、この3つあたりが、DXの目的なのだろうという予測がつく。
ところが、驚いてしまうのは、「DXを成果に結びつけるためのビジョン・経営戦略・ロードマップが明確に描けていない」と答える企業が67.8%もあり、「DXに向けた方針が役員や経営幹部に共有されていない」が44.2%、「具体的な事業への展開が進まない」が65.5%となっていることだ。つまり「7割の企業が取り組みの成果が出ている」と答えているのだが、ビジョン・戦略はないままに成果は出ているということか。ここで言われる成果とはどういうことなのだろうか。また、多くの企業でビジョン・戦略はないが「DXに向けて取り組んでいる」ということか。
やはり、企業幹部のDXに対してどう考え、何を求めているのかが、よくわからない。
DXはどこへ進むのか
もうひとつ、クラウドエース株式会社による【大手企業(従業員数 1000名以上)のDX 担当者に聞いた、現場で感じる本音】を見てみると、「2022 年を振り返って、あなたのお勤め先の会社では、どの段階まで DX が進んでいますか。」という質問に対して、「DX推進のため、社内でビジョンを共有、経営陣が方向性を示した段階」が 24.8%だという。逆の答えではあるが、約7割が「ビジョン・戦略を描けない」状態を裏付けている。
また、「紙をベースにしたアナログな業務プロセスをITを活用してデジタル化する『デジタライゼーション』の段階」が 28.4% 、「作業時間や業務プロセス全体に要する時間を削減し、業務効率化や生産性向上を実現する『デジタライゼーション』の段階が23.9%となっており、残念ながら、本来のDXの目的であると思われる「事業やビジネスモデルを変革する『デジタルトランスフォーメーション』の段階は10.1%に過ぎない結果となっている。
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