「サイバー攻撃対策」が、政府・企業の最重要課題になり得るワケ:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
2023年、サイバー攻撃対策が政府や民間の最重要課題の一つとなることは間違いないだろう。サイバーセキュリティを専門に扱う筆者が、そのワケを解説。
警察関係者も注目するサイバーセキュリティ企業
最近、警察関係者が「イスラエル発で、日本でもビジネスを展開しているKELAのソリューションが、アタックサーフェスを管理するのに優れている」と評価しているのを耳にした。KELAは以前から日本企業や政府関係機関、法執行機関にサービスを提供しており、サイバーセキュリティ関係者の間で話題なっていた。筆者も何度か取材経験がある。
同社は、地下犯罪コミュニティからサイバー攻撃の兆候を集約・分析した莫大なデータベース「サイバー脅威インテリジェンス」を構築し、それを活用したソリューションを提供している。世界でも類を見ないような企業だ。
例えば、2022年12月30日、カナダで銅を扱う鉱業会社がランサムウェア攻撃を受け、操業が妨害される被害を受けた。KELAが調査したところ、地下のサイバー犯罪者が同月13日に鉱業会社関係者のIDなどの認証情報を売りに出していたことが発覚した。認証情報の購入者がサイバー攻撃の犯人である可能性を突き止めたのだ。
そんなKELAが、日本進出10周年という節目で日本企業に向けたオンラインの無料キャンペーンを実施するらしい。キャンペーンに登録し、自社や組織のドメインを入力するだけで、外部ネットワークに接続されている自社のシステムを隅々まで調べて、攻撃の入り口となるネットワーク上の脆弱性(セキュリティの穴)についてのレポートを自動作成してくれるという。
これは、同社が培ってきたサイバー脅威インテリジェンスを駆使して、アタックサーフェスを管理する新しいソリューションである。こうしたハイエンドのソリューションを提供する企業が無料キャンペーンを実施するようになったのは、サイバーセキュリティ取材を長く続けてきた筆者としても感慨深い。それほどサイバー攻撃が身近になっているということだ。
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