「フルリモート」で売り上げを伸ばす 採用代行の会社が好調の秘密:心地よく働きたい(2/5 ページ)
欧米などと比較してリモートワークの導入率が低い日本。そんななか採用支援などを手掛けるマルゴト社は、「フルリモートワークの体制」を貫き、現在は134人の社員を抱える。フルリモート経営でどう成果をあげているのか。
月額制の「採用代行」で270社以上を支援
現在、マルゴト社が提供するのは、採用代行サービス「まるごと人事」、採用ピッチ資料の制作代行サービス「採用ピッチ制作」、採用インタビュー記事の代行サービス「採用広報代行」、バックオフィス代行サービス「まるごと管理部」の4つだ。
事業の核となる「まるごと人事」は、要件定義から採用活動の実行、改善ポイントの洗い出しまで一連の採用業務を請け負うもの。基本プランとして月額38万5000円のライトプランと77万円のベーシックプラン(別途、初期費用11万円)があり、成功報酬はゼロで1カ月から契約可能。ベンチャーや成長企業が依頼しやすいサービス設計だ。
マルゴト社の最大の特徴ともいえるのが、「フルリモート」での組織運営。今氏は北海道札幌市在住で、社員は全国各地に散らばっている。なぜフルリモートにこだわるのか。
「僕は新卒でベンチャー企業の営業マンを3年間経験したあと、縁あってカンボジアで人材紹介会社を起業し、2年間代表を務めていました。営業マン時代から感じていたのは『働き方の不自由さ』です。好きな時間にランチに行けない、音楽を聞きながら作業できない、集中したいのに話しかけられるなど。カンボジアでは誰よりも早く会社に行って最後まで監視しなければならず、経営者になっても結局不自由でした」
細かいルールや周囲を気にせず自分らしい働き方ができれば、もっと効率よく心地よく働けるのに。それまでのキャリアで感じたもどかしさから、職種よりも「フルリモート」のスタイルを優先したという。
「最初の半年はフリーランス、その後に起業しましたが、初期の2年間は1人で試行錯誤していました。とにかくストレスなく自由に働きたくて、フルリモートでやれることを提案したり、『何か仕事ないですか?』と周囲に声をかけたり。ちょうど起業前に妻の妊娠が分かり、子育てにしっかり時間を使いたかったので、子育てと両立できる働き方をしようとも決めていました」
結局、業務の軸を採用代行に定めたのは起業から2年後だった。最初は「月15万円でいいからフルリモートで人事を任せてほしい」と低コストで提案し、契約を獲得。実績や信頼を積み重ね、徐々に契約数を増やしていった。
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