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電動キックボードが「免許不要」に 日本の道路事情に合うのか高根英幸 「クルマのミライ」(5/7 ページ)

7月1日に改正道交法が施行される。最高速度20km以下の電動キックボードは、16歳以上であれば免許不要で公道での走行が可能となり、ヘルメットの装着も努力義務となる。それで本当にいいのだろうか。安全性を考えると……。

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電動キックボードを普及させるのが目的ではない?

 不安定な乗り物だから高齢者などは利用が適さないと筆者は考えるが、Luupはどういったスタンスなのか。

 「電動キックボードは足腰の弱い方にとっては適切な乗り物とは言えない中で、高齢化が進む日本において、すべての人にとっての理想的な移動手段ではないと考えています。ご高齢な方でも乗りこなすことができるような新たなモビリティが開発され、安全性や利便性が確認された際には、電動キックボードや電動アシスト自転車よりもその新たなモビリティを優先させたいと考えており、最終的な目的が電動キックボードの普及ではありません」(Luup広報部)。

 同社はマイクロモビリティの普及、それも高齢者でも安全に安心して利用できるモビリティの普及を目標に開発を行っており、電動キックボードはその足がかりとして手がけている。その志は素晴らしいが、高齢者はスマートフォンなどIT機器の操作には不慣れな割合が高いから、たとえ画期的なモビリティが開発されたとしても、それをシェアリングサービスで高齢者に利用してもらうのは、また別のハードルが存在する。

 とりあえず電動キックボードを普及させて、それを足がかりにというのはいささか拙速な印象もあるが、ベンチャーらしいスピード感がなければ、プロジェクトは成功しないし企業として継続していくことはできないだろう。すでに製造メーカーとして確立されている他のモビリティを手掛けているメーカーとは違うのだ。

 海外ではフランスなどで電動キックボードに対する規制が強化されている傾向にあるなか、日本は逆行もしくは遅れている印象だ。まずは普及させるための規制緩和で、その後実情に合わせた規制を敷いていくのが正しいのだろうか。その方向であれば欧米のように柔軟でスピーディーな対応が求められる。

 免許不要で運転できる原付をつくり出したことは、ある意味画期的だが、無免許でも16歳以上なら道交法を理解している、安全意識が備わっているというのが前提というのは、やはり甘く感じる。

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