電動キックボードが「免許不要」に 日本の道路事情に合うのか:高根英幸 「クルマのミライ」(6/7 ページ)
7月1日に改正道交法が施行される。最高速度20km以下の電動キックボードは、16歳以上であれば免許不要で公道での走行が可能となり、ヘルメットの装着も努力義務となる。それで本当にいいのだろうか。安全性を考えると……。
日本の公道が危険になる
7月からの新たなルールの危険性についての質問に対して、Luup社は以下のように回答している。
「電動キックボードは、専用の交通ルールが定まらない中で、ネット通販や家電量販店などで保安基準を満たさない車両が簡単に購入できてしまっていた状態にあったことが課題でした。
ルールの整備・認知の前に、保安基準を満たさない車両による公道走行違反が横行してしまっていた中で、今回政府によって電動キックボードなどの電動マイクロモビリティ群専用の交通ルールが定められたこと自体は、前進であると捉えています。
初めて電動キックボード専用の交通ルールが定められるということで、弊社としましては、まずは法律に沿った正しい利用を啓発することに注力してまいります」
「まず」と書かれているあたりに、同社としても需要や実際の運用を経て、安全性がどの程度確保されているか確認して、より適正な規制へと改善されていくよう働きかけを行っていくつもりのようだ。
「新たなルール下における違反者への対応については、施行に向けて警察庁をはじめとした省庁並びに電動キックボードを扱う他の業界団体の皆様と協議を重ねています。アカウントの停止を含めて、さまざまな安全対策を検討してまいります」(Luup社)
マイクロモビリティ推進協議会のやった、これまで日本ではなかなかできなかったスピード感のある規制緩和を成し遂げたこと自体は素晴らしいと思う。ただ、電動キックボードを日本の公道で移動手段として利用できるようにする、という行為は、日本の道路交通を一気に危険に陥れはしないだろうか。
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