「さようなら」津田沼パルコ 跡地に“公園”は残るのか:水曜日に「へえ」な話(2/3 ページ)
JR津田沼駅前にあった「津田沼パルコ」が2月28日、45年の歴史に幕を閉じた。売り上げを見ると、ピーク時から4割ほど減少していたようで。駅前の好立地にもかかわらず、なぜ売り上げ低迷に歯止めがかからなかったのだろうか。
売り上げが低迷した背景
このような話をすると、「そりゃあそうでしょ。新宿や渋谷あたりだったら分かるけど、千葉の津田沼だしね。船橋と習志野の間あたりに“お店、多過ぎ問題”やね」と思われたかもしれないが、一概にそうとは言い切れないデータもある。
ダイエー津田沼店とイトーヨーカドー津田沼店は1990年代前半、全国で1〜2位を争うほど売り上げがあったのだ。集客力が高いエリアということもあって、撤退しても撤退しても、跡地にまた店がオープンする。津田沼戦争から45年が経っているが、いまでも繁華街としてにぎわっている街ともいえるのだ。
そんな状況の中で、津田沼パルコはなぜ閉店に追い込まれたのだろうか。先ほど売り上げはピーク時に比べて4割ほど落ち込んだといった話をしたが、見方を変えると「4割ほどでとどまった」ともいえる。また、日本を代表するような大手流通が相次いで「さようなら」を告げてきたことを考えると、「長くがんばってきた」ともいえる。
百貨店の売り上げを見ると、ピークだった1991年の9兆7000億円から2021年は4兆4000億円と半減している(日本百貨店協会調べ)。単純に比較することはできないが、百貨店全体の数字と比べると、津田沼パルコの売り上げは“健闘”している。
では、売り上げの低迷が続いた背景に何があったのだろうか。個人的には、大きな理由が2つ重なったからだと思っている。「テナントの入れ替え」と「東葉高速鉄道の開業」である。
売り上げが好調だったころのテナントを見ると、ファッションブランドの店が目立つ。客単価も高かったので、店舗の運営も順調に推移していたが、時代の流れとともに「洋服は東京で買う」という人が増えてきたようだ。
当時、津田沼から離れたところに住んでいる人も、時間をかけて来店しているケースが多かったそうだが、少しずつ減っていくことに。その要因として、1996年に開業した東葉高速鉄道の存在が影響している。西船橋駅経由で東京に行けるようになったので、津田沼駅の乗降客数が減って、遠くから買い物にやって来る客に陰りが出たのだ。
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