「昭和のクルマ」が人気、 日本のモノづくりは再び強くなるのか:高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)
「旧車」が盛り上がっている。さまざまなイベントに登場するだけでなく、取引価格も上昇傾向にあるのだ。それにしてもなぜ旧車が注目されているのか。背景にあるのは……。
米国の25年ルールが日本から旧車を奪っていく?
米国では古くから、社外パーツの提供が盛んだった。インターネットが普及する90年代より前から通販が主流だったこともあり、ウインカーやテールレンズだけをリプロダクトして販売する専門業者なども存在している。
クルマを維持していくための消耗品は、そうした社外の部品業者によっても供給されているから、日本国内ほど困ることは少なかった。さらに当時の技術では盛り込めなかった装備や機能、他車用のパワートレーンを搭載するためのマウントキットなど、モディファイのためのパーツも豊富だ。
北米やオーストラリアでは、車検制度が厳しくなく比較的クルマのモディファイが自由に行える環境があるので、こうした楽しみ方が以前から盛んだった。
そして前述のように近年のクルマがコストダウンや規制でがんじがらめになってしまったことから、旧車に人気が集まるようになった。欧州でもかつての名車をレストアしたり、最新の装備を追加するレストモッドというトレンドが起きている。
その結果、日本の旧車を求めて海外からバイヤーが仕入れに来るようになり、日本国内でも旧車の価格が急上昇しているのだ。特に北米では、生産から25年が経過したクルマに関して、米国仕様でなくても登録可能となることから、日本製のスポーツカー人気が急上昇している。
SNSの影響もあって米国だけでなく、さまざまな国のクルマ好きにとって、パワフルで信頼性が高い日本のスポーツカーは人気の的となっている。そのため、日本からの輸出も増える一方だ。
オークションに出品される旧車の相場が軒並み上昇しているのは、国内外での需要が高まっていることが大きな要因である。そのためバイヤーたちも仕入れに苦労しているようだ。
中には大事に乗っているオーナーたちに対して、強引に盗み出して奪うという荒っぽい集団もいるらしく、バラバラに解体されて海外の部品業者が販売していたケースもあった。レクサスを中心とした高級車窃盗集団とやっていることは変わらないのである。
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