「カスハラ」の被害はいくらなのか? オペレーターが辞めた場合を計算した:対応策は(1/4 ページ)
顧客からの暴言や脅迫など、いわゆる“カスハラ”被害に悩んでいる企業は多い。どうすれば被害を抑えることができるのか。
(1)コンタクトセンターのカスハラ対策実態調査
カスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉を聞いたことはありますか? 厚生労働省が発表したカスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和3年度)によると、「顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為」と定義されています。また同マニュアル内に、過去3年間のハラスメント相談があった企業のうち、カスハラに該当する事案があったとする企業の割合が92.7%と最も高い結果となっています。
カスハラは、単なる顧客からの「クレーム」を指すものではありません。同レポートでも「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と詳細を定義しています。
カスハラが発生する現場として、コンタクトセンターも一つの場所になっており、電話口で「カスハラ」を受けてオペレーターが精神的に参ってしまい辞めてしまった、という経験がある企業も多いのではないでしょうか。
今までは、泣き寝入りのように現場で都度対応していたと思いますが、従業員への影響、ひいては企業への影響などを鑑みると無視できなくなってきており、企業自身がカスハラへの対策を練り、発信するケースが出てきました。
その中でも、最もインパクトがあった発信の一つとして、任天堂が「修理サービス規程/保証規程」に「カスタマーハラスメント」の項目を追加した事例があります。過度な要求をしてくる顧客には「対応しません」と明確に提示したことは、他の企業が後に続きやすいエポックメイキングな出来事かと思います。(参照リンク)
一方で、カスハラは接客現場やコンタクトセンターの一存で意思決定して策定できるものではありません。経営層や法務部門などとの連携が必要で、当該部門以外の部署がカスハラ対策にアンテナが弱い場合は、コンタクトセンター部門などがリーダーシップを発揮する必要があります。まわりをうまく巻き込むには、業界のトレンドに加えて、自社への影響を数字で示すことが重要になると考えます。
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