ChatGPTってビジネスで使えるの? 訝しむ人が知らない「使いこなし方」:本田雅一の時事想々(3/6 ページ)
ChatGPTが大きな話題となっている。実際に使ってみて「これをビジネスで本当に使えるのか?」と訝しんでいる方もいるかもしれない。ChatGPTが得意なことと苦手なこととは? ChatGPTを始めとする自然言語AIをビジネスツールとして使う場合のコツや考え方について解説する。
論理構造を明示した質問をしてみよう
AIをビジネスで使いこなすコツの一つは論理性をあらかじめプロンプト(入力する指示文)から示しておくことだ。
ChatGPTはプログラムコードを書くのに役立つことが知られている。それはプログラムコードそのものが、論理的な構造を持つため、あらかじめ質問の中に論理構造が含まれているからだ。
例えば、ChatGPTのプロンプトに「Excelで過去10年分の月次売上と営業利益、純利益のシートを参照し、翌年の売上、営業利益、純利益を予測するシートを生成せよ」と入力すると、前提条件としてのシートを指定した上でセル内に書き込むべき関数とそのパラメータを教えてくれる。
複雑な構造ではないが、求めたい答えに至る経路はシンプルなだけに、AIが質問者の意図を取り違える可能性はない。
実際に自分で入力してみると、その答えを見ることができるはずだ(画像1)。
もう少し複雑なプログラムも書いてくれるが、質問の書き方がどんどん難しくなっていく。よって本当に仕事に使えるような規模のプログラムを書いてもらうのは、なかなか難しい。局所的なプログラムを書いてもらうといった手伝いに活用するのが良いだろう。
続いて、次のように入力してみる。
「Swift言語で次のプログラムを書きたい。各国で流通している通貨をリストから2つ選択し、片方の通貨で指定した価値と同じ価値となるよう、もう一方の通貨を換算して表示してほしい。貨幣価値は中値としオンラインで参照する」
するとAlamofireというライブラリを用いて通貨換算して表示するプログラムをSwiftで書いてくれた(画像2)。
ちなみに先頭で「iOSアプリで次のプログラムをSwift言語を使って書きたい」とすると、先ほどと同じロジックながら、SwiftUIを使用して必要最低限のユーザーインターフェイスをアプリ上に表示して通貨換算するアプリのコードを出してくれた。
京都産業大学のサイトにあった基礎プログラミングの例題集も解かせてみたが、特に問題なく正解を出してくれた(画像3)。
プログラムコードそのものが、論理的な構造を明示しているので、プログラムから別のプログラミングコードへの移植も簡単だ。
「次のコードを○○言語に書き換えよ」として、次の行からプログラムコードを続けてもいいが、今回は先の例題集で生成したビンゴゲーム表のプログラム(Physon言語)をC#に移植してもらった(画像4)。
ここで説明したいのはChatGPTを用いてプログラム課題をこなすのが便利ということではなく、論理的な構造を指示することでAIから正解を引き出しやすくなるということだ。興味を引いたなら、自分自身でトライしてみるといい。
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