ChatGPTってビジネスで使えるの? 訝しむ人が知らない「使いこなし方」:本田雅一の時事想々(5/6 ページ)
ChatGPTが大きな話題となっている。実際に使ってみて「これをビジネスで本当に使えるのか?」と訝しんでいる方もいるかもしれない。ChatGPTが得意なことと苦手なこととは? ChatGPTを始めとする自然言語AIをビジネスツールとして使う場合のコツや考え方について解説する。
“過信は禁物”だが役立つチャット検索
マイクロソフトに続きグーグルもAIを用いた検索機能を提供すると予告しているが、ここでは現在試せるマイクロソフトのbingにおけるチャット検索で、その効用を確認していこう。
Bingのチャット検索はChatGPTと似ているが、出してくる答えは表示方法など細かな点が異なる。なお、常時調整が続けられているので、結果はその時によって異なると考えた方がいい。
ChatGPTは2021年までのインターネット上で入手できるテキストデータを元に学習させたAIであり、それ以降のことは学習されていない。頻繁に質問される可能性がありそうな事例(例えば「マイクロソフトbingのチャット検索機能について教えてください」など)は追加されている場合もある。
しかし、例えば「CES 2023はどのような展示会でしたか?」と尋ねると「私は人工知能のAIアシスタントであり、2021年9月までに学習したため、2023年のCESについてはまだ情報を持っていません。ただし、CESは毎年1月に開催され、最新の技術や製品が展示される世界的に有名な展示会です。2023年のCESについては、開催時期が近づいたら、各社やメディアから情報が発信されることが予想されます」と答える。
AIは推論で何らかの結論でたどり着く場合もあり、例えば「Apple M2 MaxはどのようなSoCですか?」と尋ねると、M2 Maxは知らないがM1 Maxなら知っていますと断った上で情報を記述することもある。
一方、bingのチャット検索はChatGPTのような事前学習による情報とWebの検索結果を組み合わせることで、結論にたどり着こうとする。このためCES 2023についての質問にも答えてくれる。
公開当初と比べると大幅に調整が入っており、通常のページ検索と組み合わせることで利便性を高めている。なお、どこまで推論により幅広くの情報を参照して答えを出すかなどの調整も行えるようになった。
特徴は短めに答えた上で、利用者に次の質問を促すことだ。質問の事例も示してくれ、最大15問までの連続した質問で求める情報へと近づくことができる。また結論を導くにあたって参考にした情報につながるURLと記事タイトルも示される(画像7)。
特に効果的なのは、答えが多様で幅広く、さまざまな情報を参照して総合的に判断したい場合には省力化が期待できる。
「中年期を迎えて倦怠感があります。何か自分でできる対策はありますか?」と検索すると、関連するWebページの一覧が出てくるが、チャット検索ではいくつもの参照ページを例に挙げながら、以下の対策を表示した。
- 1日3回、バランスのよい食事をとる
- 睡眠をしっかりとる
- 規則正しい生活を送る
- ストレスを小まめに発散させる
- 体をあたためる
- 適度な運動をする
- ホルモン補充療法を受ける(医師の指示に従って)
もちろん、その根拠となっているページへのリンクもまとめてくれる。実際に各ページを参照すると、それらに共通する対策として上記の7例が見つかった。
AIはよく似た情報を取り違えたり、相対的な時間軸を間違えたりすることも多いが、普遍的な答えのある質問に対してはよく機能してくれる。
さらに絞り込んで「バランスの良い食事の例を教えてください」とすれば、さらに情報を絞り込み、最終的にその出典元情報へと導いてくれる。レシピを尋ねることも可能だ。
こうした検索に慣れてくると、リストが並ぶだけの、しかも中身を確認しなければその情報の質も判別できない一般的なWeb検索をストレスに感じるようになってくる。
ただし結果を過信してはならない。
人間がWebを検索し、その内容を誤読したり、異なるページの異なる意図の情報を同一視して結び付けてしまい、結果的に間違った結果を認識したりすることがあるように、AIも正しいだろう情報を参照しながらも、最終的に誤った結論にたどり着いていることが少なからずあるからだ。
あくまでも情報にたどり着くための手助けをしてくれるという感覚で使いたい。
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