コロナ禍で得たものとは? JTBが「学び」で組織風土を変革する理由:「自律創造型人財」を育成(2/6 ページ)
旅行大手のJTBは、2018年から「キャリア改革」に着手。既存事業の外でも活躍し、自らキャリアを切り開く「自律創造型人財」の育成を目指す。コロナ禍による激変やそこで生まれた危機感を経て、スキル・キャリア開発を進める一方、組織風土の改革が今後の課題だ。
旅行以外の領域でも「戦っていける人財」を
それを実現するために、キャリア改革では3つの柱を掲げた。「キャリア開発の主体を変える」「キャリアの築き方を変える」「マネジメントの仕方を変える」だ。
「キャリア開発の主体を変える」とは、主体的・能動的なキャリア開発への転換。従来は役職などのポジションによるキャリアパス以外は見えにくかった。ポジションに限らず、「個人がどういった立場でどんな仕事をしたいか、自ら考えられるようにする」(田中氏)ために、社員が主体となる研修やキャリア開発支援の仕組みをつくる。
「キャリアの築き方を変える」ことが意味するのは、活躍領域の拡大と新たな能力開発の拡充。既存の事業や業界にとどまらず、広いフィールドで人財の市場価値を高めていくことを目指している。「今後も競争や協業をしていく相手が大きく変わっていく。IT・デジタルや金融など異業種も含め、変化していく市場で戦っていける人財を育成する」(田中氏)ため、他業界や他社との“他流試合”研修なども支援していく。
「マネジメントの仕方を変える」とは、マネジメントの役割として、部下のキャリア開発を支援する、つまりキャリアコンサルティング力を高めていくことだ。年3回実施している中長期的なキャリア面談をより有効にするため、上司の立場の社員に対するサポートを強化。キャリア開発支援の考え方や面談のポイントなどを伝えるようにする。
このキャリア改革における3つの柱を成し遂げるためには、研修を中心とした個に対する能力開発と、「学び」を基軸とした組織風土改革を有機的につなげていくことが必要となる。その一連の取り組みの中で、大きな役割を果たしているのが、人財開発のためのプラットフォーム「JTBユニバーシティ」による改革だ。
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