コロナ禍で得たものとは? JTBが「学び」で組織風土を変革する理由:「自律創造型人財」を育成(3/6 ページ)
旅行大手のJTBは、2018年から「キャリア改革」に着手。既存事業の外でも活躍し、自らキャリアを切り開く「自律創造型人財」の育成を目指す。コロナ禍による激変やそこで生まれた危機感を経て、スキル・キャリア開発を進める一方、組織風土の改革が今後の課題だ。
コロナ禍で「学ぶスタイル」を多様化
JTBユニバーシティは、もともと集合研修を中心に、グループ社員に学びの機会を提供してきた人財開発機関。近年はキャリア開発、そしてコロナ禍をきっかけにその機能も変化している。
田中氏は「コロナ禍による人流の停滞を受け、経営・事業環境の悪化から、一時的に学びの提供を限定あるいは止めざるを得ない状況になりました。そのため、『学びを止めない』を合言葉に、学びの『仕組み、仕掛け、仕切り』づくりに工夫を凝らしました。振り返ると、コロナ禍があったからこそ改革が進んだと思います」と話す。
20年以降は集合研修を大きく減らし、eラーニングやウェビナーといったオンライン研修を中心に提供。制限がある中で学びの機会を提供し続けた。特に、店舗の休業期間中の社員には、学びを促すコンテンツを配信し、「学ぶ機会は減らさず、学ぶスタイルを多様化する」(田中氏)ことを目指した。
一方、オンライン研修の拡充は、学びの機会提供や負担軽減に大きな効果をもたらした。「子育て中の社員など、これまで時短により研修の受講を諦めていた人たちがたくさんオンライン研修を受けてくれるようになりました。また、全国の勤務地から東京に来てもらう負担も軽減し、時間の有効活用につながっています」(田中氏)。結果的に、一人一人が「必要な時に、必要な学び」を得られるようになり、主体的・能動的な学びを促進している。
現在は集合研修の実施も徐々に増えているが、「コロナ禍の前に戻すつもりはない」という。集合研修は全体の3〜4割にとどめ、研修の目的と対象によって方法を選択するハイブリッドで運用していく方針だ。
関連記事
- 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 日本の富裕層は148.5万世帯、増えている理由は?
野村総合研究所は「2021年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模」の推計結果を発表した。「純金融資産保有額」が5億円以上の「超富裕層」は9.0万世帯で、全体の0.16%であることが分かった。 - 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみた
国民的アニメの主人公は、どんな家に住んでいるのでしょうか? 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』の自宅を査定したところ……。 - 「田園都市線」は多くの人が嫌っているのに、なぜ“ブランド力”を手にできたのか
「通勤地獄。なぜあんなところに住むのか」――。SNS上で「東急田園都市線」が批判されている。街は整備されていて商業施設もたくさんあるのに、なぜこの沿線をディするのか。その背景に迫ったところ……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.