「来場証明NFT」がじわじわ広がる 推し活の新たなビジネスモデル:仕掛け人に聞いた(4/5 ページ)
推し活の新たなビジネスモデルとして「来場証明NFT」の活用が広がっている。イベントに来場した証明書を配布するものだが、どのようにファンビジネスに貢献するのか。同サービスを手掛けるplayground社の社長に話を聞いた。
ストーリーのあるブランドとも相性がいい
今後、ヴォレアス北海道では引き続きファン活動における証明書の付与を継続し、ファンダムの形成を目指すようだ。また、チームの地元である旭川にまでファンダムを広げようと構想する。そのために、試合の来場や会場内でのファン活動だけでなく、オンラインでのグッズ購入など、あらゆるファン活動に対して証明NFTを付与しようと考えているそうだ。
その他、この2月には福岡ソフトバンクホークスと実証実験として、春季キャンプの来場者に応援証明(NFT)を配布した。さらに、キャンプ中に撮影した選手写真やデジタルサインなどをデザインした応援証明デラックス版を、同応援証明保有者に限定販売した。
同実証実験は経営にインパクトを与えるほどの規模とは言えないが、「Web3」「来場証明NFT」といったファンにとって新しすぎる領域としては上々の反応だったそうだ。
現状は、ファンダム形成への意欲の高いスポーツ・エンタメ企業と協業していくのがプレイグラウンド社の戦略だ。しかし、一般企業でも同社の技術が価値になるケースがあり得るという。
「アパレルやインテリア、飲食など一般のサービスであってもファンの熱量があれば、同様のビジネスモデルが成り立つと考えます。これまでCRM(顧客関係管理)において、分析指標は顧客の購入額が一般的でした。
しかし、推し活を証明するNFTの活用により、イベントに参加した、アンバサダーとして活動した、あるシリーズを全種類購入したなど、金銭だけでは測れない要素で顧客を評価できます。独自のストーリーを持つブランド、特にD2Cブランドとは相性が良いだろうと」(伊藤氏)
伊藤氏は、ナイキやスターバックスにはファンダム形成の流れがあると分析する。実際、どちらもブランドの思想や世界観が強く、熱烈なファンが存在する。このようなファンマーケティングを目指すブランド・企業であれば、推し活証明NFTがうまく機能する可能性はあるかもしれない。
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