大規模オフィスを10分の1に縮小したLIXIL 「1周400メートル」に込めた思いとは:オフィス探訪(3/4 ページ)
東京・品川の住友不動産大崎ガーデンタワーに本社を移転したLIXIL。大規模だった旧オフィスから一転、新拠点では敷地面積を約10分の1に縮小し、オフィスを「コラボレーションを促進する空間」と再定義した。オフィスの移転理由から新オフィスに込めた思いまで、総務部部長の林崇志氏に話を聞いた。
多彩な設備を用意し、従業員の居心地の良さに注力
会議室エリアを抜けると、同社主催のセミナーや動画配信で使用するスタジオや、デザインチームによってキュレーションされた「SOUZOU」と呼ばれるスペースがあった。LIXILのコーポレートカラーであるオレンジが印象的なスペースで、従業員なら誰でも閲覧できる書籍や製品サンプルを配置している。本棚には、インテリア・住宅系はもちろん哲学系など多様なジャンルの本が並べてあった。
執務エリアには多彩な設備を用意。集中席やWeb会議ができる個室ブース、アイデア開発を目的としたファミレス席などを配置している。役員用のエリアでも空いていれば従業員が使用できる。社長室もないため、瀬戸欣哉社長もオフィス内を歩いているとか。
オフィス移転にあたりペーパーレスにも注力した。個人ロッカーやキャビネットはなくし、出社時に利用する1Dayロッカーを用意。メール・郵便を受け取るためのメールボックス以外に書類を入れるものは一切用意していない。プリンタも極力少なくした。この施策には、コスト削減だけでなく、書類を置く場所を減らすことで限られたスペースを広く使おうという意図がある。
「建設業界なので、図面や見積もり書、注文書などまだまだ紙文化が根付いており大変でしたが、オフィス移転を契機に思い切ってなくしました。やってみると案外何とかなるものですし、紙を排除したためオフィスの美観も保てています」(林氏)
新オフィスのコンセプトは「第二の家」
住宅に大きく関わる同社だからこそ、新オフィスのコンセプトを「第二の家」と定義。自社のデザイン部門が関わり、“見た目”にも気を配った。自宅と同じようにリラックスしながら仕事ができる環境を目指したという。「植栽の配置にもこだわりました。また、グレーなど中間色を多く使用することでリラックスできる空間も意識しています」(林氏)
取材した当日も多くの社員が出社していたが、その働き方は多種多様。自由に利用できるPCモニターを持ってきて窓際の席でデスクワークをする人や、個室ブースでWeb会議に参加する人。もちろん、机を囲って従業員同士で意見を出し合う姿もあった。
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