スイス銀行、ドイツ銀行に続き日本銀行も? トレンド入りした「#日銀破綻」の現実性:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)
クレディ・スイスの買収騒動が飛び火する形でTwitterで「#日銀破綻」というワードがトレンド入りした。果たしてそんな可能性が本当にあるのか。海外の中央銀行が“破綻”した事例などを交えながら考える。
Twitterのトレンドに「#日銀破綻」というセンセーショナルなワードが入った――。
スイス金融大手・UBSによるクレディ・スイスの買収騒動が、ドイツ銀行といった各国の大手金融機関に飛び火する中、わが国の中央銀行である日本銀行(日銀)も「破綻」、ひいては「預金封鎖」や「新通貨の発行」に踏み出すのではないかというとっぴな言説がSNSを駆け巡った。
クレディ・スイスは漫画作品や小説などで通称「スイス銀行」と呼ばれる銀行の一つであり、ドイツ銀行もドイツという国名を看板に背負った商業銀行だ。確かに日銀も国名を背負っている点では共通しているが、商業銀行ではなく中央銀行である点で大きな違いがある。果たして、中央銀行としての日銀が破綻するようなことが本当にあるのだろうか。
今回は、フィリピン中央銀行の事例も踏まえつつ、中央銀行が実際に破綻する可能性について触れていきたい。
過去にはフィリピンの中央銀行が“破綻”?
結論からいえば、中央銀行たる日銀が破綻する可能性は非常に低い。日銀は日本の中央銀行であり、日本国内の金融政策や通貨発行を担当している。保有する債券や株式の評価損が金利上昇の煽りで膨らんだとしても、通貨発行権を行使したり、公開市場操作(オペ)を実施したりする権限があるため、破綻することは通常起こり得ない。
しかし、過去に中央銀行が破綻に近い状態に追い込まれた例はいくつか存在する。その代表例として、フィリピン中央銀行の事例が挙げられるだろう。
関連記事
- ファストフード店のメニューが“見づらく”作られている、納得の理由
ファストフード店のメニュー表に隠されたおもしろいマーケティングがある。消費者の購買選択が、実は企業にそっと誘導された結果によるものかもしれないというのだ。東京大学大学院で行動経済学を教える教授に話を聞いたところ……。 - シリコンバレー銀行(SVB)破綻の衝撃! 米当局の“超法規的措置”が悪手といえるワケ
米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻が波紋を呼んでいるが、果たしていったい何が問題なのか。あまり語られていない「格差」の観点から解説する。 - 「部下に残業させられない」と犠牲に──しわ寄せを受ける管理職のため、会社がすべき2つのこと
「俺が法律の犠牲になりそうだよ」と頭を抱えるAさん。コンサルタント会社でマネージャーをしているAさんには、「働き方改革」にしわ寄せがきていたのです。 - レジ袋有料化の“二の舞”か プラ削減のために導入した「紙ストロー」が別の環境問題を引き起こすジレンマ
2022年は「プラスチック削減元年」と言っても過言ではないほどに紙ストローが普及した。環境に配慮した取り組みのようだが、レジ袋有料化同様に紙のほうが本当に環境負荷が小さいのか? という疑問が消費者の中で渦巻いているように感じる。紙ストロー移行は本当に意味があるのかというと…… - 「ロッテリア」はどこでしくじったのか 売却に至った3つの理由
「ロッテリア」のゼンショーHDへの売却が決まった。背景には大きく3つの要因が考えられる。他社の動向とともに考察する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.