弱点克服の“ラストピース”になるか 小売りの雄・イオンが挑む、都市部特化ネットスーパーの全容:長年の悲願(1/4 ページ)
イオンが新たなネットスーパー「グリーンビーンズ」を発表した。1都3県など都市部に特化したネットスーパーとして今夏、始動する。英国企業と提携し、AIやロボットなどを活用した最先端の買い物体験を提供する。
「日本最高の買い物体験を提供する」──イオンの吉田昭夫社長は、新たなネットスーパーの発表会見でこう意気込んだ。ブランド名は「グリーンビーンズ」。1都3県など都市部に特化したネットスーパーとして今夏、始動する。狙うのは、共働きのファミリー層だ。英国企業と提携し、AIやロボットなどを活用した最先端の買い物体験を提供する。“日本の小売業界の雄”イオンにとって、新事業がラストピースになる可能性がある。
グリーンビーンズは、アプリやパソコン上で冷凍食品2000点などを含む計5万点の商品を扱う巨大ネットスーパー。都市部の共働き世帯の利用をメインに想定しており、通常店舗の約2倍に相当する商品数を提供する。基本的な機能は既存の他社サービスとは大きく変わらないものの、2019年11月に業務提携した英オカド製の最新技術で、サービス全体として買い物する際の無駄を徹底的に排除。効率性を極めている。
AIが購買履歴を学習 カートに商品が入った状態でスタート
その一例が、買い物時の初動だ。通常、ECサイトなどでは、ユーザー自身がゼロから購入する商品を追加していく。これに対し、グリーンビーンズでは、システムに搭載したAIがユーザーの過去の買い物履歴を学習。頻繁に購入する日用品や食品が、あらかじめカートに入った状態で買い物が始まる。
これにより、商品の検索時間を削減。スムーズな買い物を実現している。自動的にカートに入った商品に不要なものがあれば、ユーザー自身で削除することで、その内容をAIが再度反映。買い物の回数を重ねるたびに、予測精度が向上する仕組みだ。
購入商品の選定では、アプリ内で調理レシピのコンテンツを提供。希望のレシピを選択すれば、必要な材料や調味料を一括してカートに追加する機能も搭載している。
配送拠点でロボット活用 効率性10倍に
配送面でも効率性を重視している。サービス開始に合わせて、イオン初の配送拠点「顧客フルフィルメントセンター」(CFC)の稼働も併せて発表。千葉市内に建設したCFC内では、ロボットがユーザーの購入商品をピックアップする。6分で50点以上の商品をピッキングでき、その効率性は実店舗でのピッキングの10倍に及ぶという。
在庫管理にもAIを活用する。欠品を早期に検知し、欠品率も低く抑える。
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