弱点克服の“ラストピース”になるか 小売りの雄・イオンが挑む、都市部特化ネットスーパーの全容:長年の悲願(2/4 ページ)
イオンが新たなネットスーパー「グリーンビーンズ」を発表した。1都3県など都市部に特化したネットスーパーとして今夏、始動する。英国企業と提携し、AIやロボットなどを活用した最先端の買い物体験を提供する。
自社でドライバーを雇用 「2024年問題」にも対応
配送面でも、デジタルを活用する。注文から発送までオカド製のシステムで一律管理しており、各ユーザーの注文品の重量を自動で計測。システムが配送トラックの荷台における適切な配置場所を指示し、ドライバーの負担にならない積載になるようデザインする。
配送ルートも効率的なものをシステムが導き出し、ドライバーに指示する。法改正でドライバーの労働時間が厳しく制限されることから、物流業界で各社が対応を進める「2024年問題」も見越した動きでもある。
デジタルによる効率性の追求だけではなく、顧客満足度を高める取り組みも行っている。その1つが配送ドライバーの自社雇用。ECサイトで購入した商品の配送は大手宅配事業社や、委託を受けた外注ドライバーが行うのが一般的だ。
しかし、昨今、悪質ドライバーによる配送時の商品の破損などが社会問題となっている。このため、イオンは自社で独自のトレーニングを受けたドライバーを雇用する。すでに行っているドライバー募集にはさまざまな業種からの応募が相次いでおり、女性比率も20%を超えているという。
共働き世帯の利用がメイン 配達は1時間単位で受け付け
もう1つが、配達時間の受け付けだ。ECサイトで購入した商品の配達時間は「午前中」のように、広い時間帯で受け付けることが多い。都市部の共働き世帯の利用を想定するグリーンビーンズでは、午前7時から午後11時まで1時間単位で配達を受け付ける。都市部での共働き世帯の場合、仕事終わりに店舗での買い物が負担になったり、閉店時間に間に合わなかったりするケースが想定される。配達時間の選択肢を増やすことで、通勤途中に数日分の食料をまとめ買いし、帰宅時間に合わせて柔軟に配達する環境を整備した。
「デジタルで効率性を高める中で、商品を渡す時が利用者との唯一の接点。ドライバーによるラストワンマイルの対応が企業イメージに直結する。品質だけでなく接客面も大切にしたい」。吉田社長はこう語り、一連の取り組みの意義を強調した。
関連記事
- ソニーの「着るエアコン」“バカ売れ” 猛暑追い風に「想定以上で推移」
連日の猛暑が続く中、ソニーグループ(ソニーG)が4月に発売した、充電式の冷温デバイス「REON POCKET 3」(レオンポケット3)の売れ行きが好調だ。同製品は「着るエアコン」とも呼ばれており、ビジネスパーソンを中心に売り上げを伸ばしている。 - 「スシロー」はなぜ、“食器舐め”本人の謝罪を拒否したのか 広報に聞いた
回転寿司チェーン「スシロー」の店内で、客が卓上の醤油ボトルや湯呑みを舌でなめる動画をSNSに投稿し、物議を呼んでいる。被害を受けたスシローの運営元あきんどスシローは迷惑行為に「刑事、民事の両面から厳正に対処する」との声明を発表。厳格な姿勢を示し、ネット上で賞賛を浴びている。スシローはなぜ厳しい姿勢を貫くのか。理由を広報に聞いた。 - 「ロッテリア」はどこでしくじったのか 売却に至った3つの理由
「ロッテリア」のゼンショーHDへの売却が決まった。背景には大きく3つの要因が考えられる。他社の動向とともに考察する。 - 「侍ジャパンの決勝、どうなった?」 9回表に離陸、航空会社の機内アナウンスが賞賛されたワケ
WBCで侍ジャパンが米国代表との激闘を制し、14年ぶり3度目の優勝を果たした。地上波などで結果を見届けた人もいる中、JAL系の航空会社が、上空で搭乗客に結果を伝えたとの投稿が話題になっている。どのような方法で伝えたのか。 - 侍ジャパン人気、食に波及 東京ドームで「高額弁当」“バカ売れ”のワケ
「ワールドベースボールクラシック」が盛り上がりを見せ、試合会場の東京ドームには連日観戦客が足を運んでいる。会場内のグルメの販売も好調で、運営元の東京ドームによると「予想を大きく上回る売れ行き」だという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.