ローソン、「実質半額」コーヒーサブスクの勝算 1杯50円でも痛くないワケ:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/3 ページ)
ローソンが愛知県内の店舗でコーヒーのサブスク実験を開始した。毎日利用すれば、通常価格の「実質半額」となる値段でコーヒーを買える。果たしてどんな勝機があるのか。
例えば、牛角が2020年に実施した「焼肉食べ放題PASS」というサブスクサービスを覚えている人も多いだろう。これは、当時3480円だった食べ放題の「牛角コース」が1日1回、月額1万1000円で食べ放題になるというもの。約3回で元が取れるという、美術館や水族館の年間パスなどを参考とした料金モデルだったと推測されるが、あまりの人気ぶりで苦しくなったのか、1カ月で終売となってしまった。
フードサブスクでは、牛角の他にも定額制の食事サービスが数多く試みられてきた。しかし、原価率の高さや、利用者がヘビーユーザーに偏る問題など、さまざまな課題が指摘されており、計画が早々に頓挫してしまう失敗例も少なくない。そのため、飲食各社は「牛丼のトッピング」や「うどんの天ぷら」といったように、おおもとの食事を頼むことで注文できるサブ的な位置付けの商品に限ってサブスクを提供する慎重な例が増加している。
ただし、デジタルコンテンツでなければサブスクが成り立たない、と考えるのは早計だ。具体的な商品や実店舗のサービスを売りにするサブスクでも「美容系」は成功するケースが多い。その理由としては、化粧品の原価率が低いこと、またサービスの利用頻度が低下することで、ユーザーの利用権が消滅し、本来提供するはずであった商品や役務がそのまま利益になるというケースが多い点にあるといえる。
このように考えると、ローソンのコーヒーサービスも、いかに原価率や利用頻度を抑えられるかが問題の所在となってきそうであるが、コンビニという業態を踏まえると、それ以外の観点でも勝機はあるように思われる。
コンビニとコーヒーサブスクは好相性?
まず、コーヒーは弁当などのコンビニ取扱商材と比較して品質維持が容易で、運送が平易であることから毎日安定した供給が可能だ。そして、コンビニコーヒーの原価率が一般的に50%程度であることを踏まえると、ローソンにとっては「サブスク購入者全員が土日祝日含めて毎日必ずコーヒーのみを購入する」という条件でもトントンに収まる。
そもそも、コーヒーはビジネス層を中心に一定の需要がある商品だ。このことから、サブスク需要があり、継続的な売り上げを生み出すことが期待できる。加えて、ビジネス層に需要がある商品は休日には平日ほどの利用が見込まれないことから、土日祝日に利用しない人が発生しやすい点もポイントだろう。
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