トヨタの新社長就任で、どんなクルマが出てくるのか:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/7 ページ)
トヨタ自動車の方針説明会で、どのようなことが語られたのか。中嶋裕樹副社長の説明パートを中心にトヨタのクルマづくりがどうなっていくかを見ていこう。
前編では、佐藤恒治社長のプレゼン内容を中心にトヨタの戦略全体を見渡す分析を行った。
後編では、中嶋裕樹副社長の説明パートを中心にトヨタのクルマづくりがどうなっていくかを見ていくことにする。佐藤社長が掲げた経営方針でも、「これからも、『商品で経営する』クルマ屋トヨタの一丁目一番地です」と、トヨタの不変の最重要課題として挙げているだけにその商品がどうなるかの詳細は極めて重要である。
まずは全体の話だが、前編でも確認した通り、トヨタは引き続きマルチパスウェイの軸をぶらさない。図1にある通り、地域と顧客のニーズに幅広く対応するために、全部で6つの異なるパワートレイン群を展開する。
BEV(バッテリー電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCEV(燃料電池車)、HEV(ハイブリッド)、H2(水素内燃機関)、CN燃料(カーボンニュートラル燃料内燃機関)だ。
BEVの商品戦略
まずはおそらくは最も注目を集めるであろうBEVから始めよう。以下、中嶋副社長のスピーチから抜粋する。
「足元のラインアップを拡充させ、2026年までに10のモデルを新たに投入し、販売台数も年間150万台に達します。一方、クルマ屋が創る今までとは全く異なる次世代バッテリーEVも26年に投入致します。電池を極限まで効率良く使い、航続距離を2倍に、さらに心揺さぶる走りとデザインを兼ね備えたまさに次世代のバッテリーEVです」
今回各メディアでも大きく取り上げられた「26年までに新たに10モデル、年間150万台計画」の大まかな骨子は、佐藤社長から概要説明があった通り、大きく分けて、これまでのbZシリーズの延長線上にある先進国用の中上級価格帯モデルと、実用ニーズを担う新興国用の短距離小型ベーシックモデルに分かれるはずだ。
その他、既にスタイルが発表されているスーパースポーツEVもこれに加わるだろう。かつてのレクサスLFAを彷彿(ほうふつ)とさせるモデルである。
このクルマの果たす役割は、言うまでもなくトヨタのBEVのイメージリーダーである。21年12月に行われたトヨタのBEV戦略説明会で、質疑応答に答えた豊田章男前社長は「今までのトヨタのBEVには興味がなかった。これからのBEVに興味がある」と言った。「トヨタの、あるいはレクサスのクルマらしい乗り味」、それはつまり金太郎飴ではないBEVということだが、本当にそういうものがつくれるのかどうか、これまで積み重ねて来た言葉が問われることになる。
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