事業成長とサステナビリティの両立 目指す企業は何から取り組む?:明るいサステナビリティ変革(1/2 ページ)
サステナビリティの潮流が高まる中で、どう事業成長と両立させるかを悩んでいる企業も少なくないだろう。目指す企業は何から取り組むべきか、解説する。
連載:明るいサステナビリティ変革
サステナビリティを巡る世界の動きは非常に速く、企業は日々新たな対応が求められています。気候変動から自然資本、人的資本、サステナビリティ全般へと、情報開示の対象は拡大し、開示義務化の流れも世界的に加速しています。今後情報開示を充実させていくためには、組織変革も不可欠です。開示先行で変革を強いられている中、企業がサステナビリティ変革を受動的でなく能動的に変革を推進するにはどうすればいいのか。EYストラテジー・アンド・コンサルティングが7回に分けて解説していきます。
1本目:日本企業のサステナビリティ開示率9割超 なのに“場当たり的な”対応が目立つワケ
2本目:サステナビリティは事業成長を促すのか? ユニリーバや楽天、パタゴニアなどの事例を解説
3本目:ESG領域の開示要請が加速 息切れしない「サステナビリティ変革」をどう実現する?
4本目:サステナビリティ変革にも「DX」 散らかるデータと増える工数をどう減らす?
サステナビリティ改革における非財務情報の開示義務化とエンゲージメント強化は、もはや企業にとって無視できない潮流となっています。
例えば、日本でもTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)については東証プライム企業を対象に実質的に義務化されており、欧米でも全ての上場企業でサステナビリティ全般の情報開示が義務化される方向で進んでいます。
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)についても、情報開示のガイドラインや枠組みが本格化するに従って、企業には開示内容の質もより求められるようになっていくでしょう。また、2023年3月期から有価証券報告書で人的資本に関する情報開示も義務化されるなど、日本企業は今大きな変革期を迎えているのです。
こうした動きの背景には「グレートアクセラレーション」があります。これは人類の活動によって社会経済や地球環境が急速に変動している現象を指す言葉であり、経済発展の負の側面として今、さまざまな社会課題が顕在化してきていることを表しています。
経済がグローバル化したことで、気候変動だけでなく、人口やGDP、資源消費、汚染とあらゆるものが指数関数的に増加し続けています。コロナ禍の拡大もその一つの現象だといえるでしょう。日本でも「人新世」「グレートリセット」という言葉が話題となっているように資本主義の限界が問われ、成長を止めなければ地球が危ういといった議論が巻き起こっています。
しかし、企業がGDPを生み出し、雇用を確保していくためには資本主義の中で経済を回していかなければなりません。企業は成長を求め続けなければならないのです。だからこそ、地球環境と成長を両立させていくために、私たちは人類として、資本主義をサステナブルに転換しなくてはならないのです。
この大仕事を経営層はどう推進していくべきでしょうか。推進のための必要素材や社員の意識醸成の方法を紹介します。
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